キュモール現る


「おまえら腕落ちたんじゃねえの?」

「・・・まあ、下町でニートやってたユーリが

 強くなるわけないからね」

「オイコラ。人をニート呼ばわりすんな」

「え?何か違った?」

「・・・」



結果はユーリの圧勝。デコボコ弱っ!


・・・え?私?戦ってませんよ。

『ここで』術は使えないからね。



「こりゃ馬車はもう無理だな」

「今から行って追いつけたら奇跡だよ」



これからどうしようかと考えていたら、

ピンクの色の騎士たちに囲まれた。

少し遠くには、この隊の隊長、キュモール。


・・・うん。ゲームで見るより100倍キモいな。

さすが、通称キモール。



「さすがシュヴァーン隊、こんな下民ひとり、

 捕まえられないとは無能だね」



キュモール(いや、キモールか)はその姿に合ったキモい声・・・

ヒステリック?な声でデコボコを貶していた。



「......キモい.......」

「こら、聞こえんだろ」

「ユーリも思ってるくせn」
「まあな」



最後まで言い終わらないうちに返事が返ってきた。


ただひたすらにキモいんですね、わかります。



「こ、これはキュモール隊長!とても見苦しい所を、であ〜る」



デコボコは、一応目上の人だからか、敬礼をする。


そんな奴に敬礼しなくてもいいんじゃね?



「キミたちのような生まれの卑しいヘナチョコ隊、

 騎士団にはいらないんだよ」



いや、お前のほうがいらねーよ。

むしろこの世界からいらん。



「グッ・・・シュ、シュヴァーン隊長にはご内密に、お、お願いします」



おお!耐えてる、耐えてる!

頑張れ、デコボコ!



「逃げたのが魔導器(ブラスティア)泥棒なら、逃がしたのは税金泥棒かよ」



ここでユーリが口を挟む。


・・・犯人に逃げられたのが余程腹が立ったらしい。

めっさ文句言ってるよ。


遠くでは、袋を銜えたラピードが、一度ユーリに目配せをし、

下町へと走って行った。

それを見たユーリは、剣を地面に捨てる。



「しょうがねえな・・・」

「飼い犬にも見放されるとは、これは傑作なのであ〜る!」

「ぎゃはははははっ!」



今のデコボコにはイラッときた。

ユーリは、あの袋・・・犯人が下町の皆から巻き上げたお金が

下町のみんなにちゃんと帰るように、わざと武器を捨てたのに。



「毎度、毎度、忙しいね、ユーリ・ローウェル君」



うるさい、キモール。



「僕も忙しいけど、ちょっとだけ遊んであげるよ。

 僕のキュモール隊がね!」

「おまえらがそうだから、フレンが苦労するんだよ」

「あんな成り上がりの小隊長には苦労がお似合いだよ」



・・・・・・。

・・・久々に、カッチーンときたよ、騎士の皆様。

ちょっと、罰を受けてもらうか。



「・・・『未来予知』」

「ユイ・・・?」



キモール隊の騎士が、私たちに近づいてくる。

そして、後ろからくる衝撃。



「っ・・・!」

「ユイ!」



ユーリが私の名前を呼ぶ。

しかし、私の意識はそこで途切れた。




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