水道魔導器暴走



「ユーリ!たいへんだよ!」

「でかい声出してどうしたんだ、テッド」



ドタドタと慌しい音が聞こえてきたと思ったら、いきなりドアが開いた。

ドアを開けたのはテッドだった。


・・・つーか、めっちゃ強くドア開けたな。



「あれ、ほら!水道魔導器(アクエブラスティア)がまた壊れちゃったよ!

 さっき修理してもらったばっかりなのに」



そう。さっきの大きな音は下町で唯一のきれいな水がある、

噴水・・・水道魔導器(アクエブラスティア)が壊れて水が大量に出てきたのだ。


簡単に言えば、水道の蛇口がぶっ飛んで水が大量に溢れてきた、みたいな感じだ。


ユーリはテッドの言葉を聞き、呆れたように口を開く。



「なんだよ、厄介ごとなら騎士団に任せとけって。そのためにいんだから」

「下町のために、動いちゃくれないよ。騎士団なんか!」



まあね。今までこういう出来事があって下町に来た騎士って

フレンぐらいだし。



「世話好きのフレンがいんだろ?」



あ、リンクした。



「もうフレンには頼みに行ったよ!でも会わせてもらえなかったの!」



ってか今思ったんだけど、俺空気じゃね?

やべ。ちょ、復活の呪文唱えなきゃ。


・・・バルス!!



「はあ?オレ、フレンの代わりか?」

「良かったね、ユーリ。下町のニートからフレンの代わりに昇格したよ」

「お前ちょっと黙ってろ」

「・・・・はい」



シータ撃沈!パズー助けて!



「いいから早く来て!人手が足りないんだ!」



なんとかユーリを連れ出そうとするテッド。

しかし、それは一階から聞こえた女将さんからの声で無駄になった。



「テッドぉ!テッドぉ!降りてきなさい!あんたも手伝うのよ!」

「ちょ、ちょっと待ってよぉ・・・。もう・・・ユイとユーリのバカ!」



小さく怒りながらも慌てて一階に降りる。

いや・・・。



「・・・なんで私も怒られたの?」

「何もせずにそこに座ってるからじゃねえの?」

「それでもなんか理不尽なような・・・」



最近の子供は何を考えてるか分かんないからね。怖い怖い。


適当なことを考えていると、ユーリは水道魔導器(アクエブラスティア)の方を見ながら

何か呟いている。



「騒ぎがあったらすっ飛んで来るやつなのに・・・。

 あの調子じゃ、魚しか住めない街になっちまうな」



ユーリの意思を読み取ったのか、ラピードは静かに部屋を出た。

相変わらずカッコいいぜ!



「ま、ちっと様子見に行ってみるか」

「ほいほーい」



そして、私たち二人と一匹は大量の水が出ている

水道魔導器(アクエブラスティア)に向かうのだった。





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