戦闘終了



「いい感じだ」

「はあ?何がだよ。こっちはちっともよくねえよ」

「あ、それ私の台詞・・・」

「いいな、その余裕も」



ザギは私とユーリを交互に見、口を開いたかと思えば

狂ったように身体を仰け反らせる。

・・・あれだ。『忍たま』でいう八宝菜が笑いすぎた、みたいな。

ザギのこの戦闘狂っぷりとまったく話が噛み合わないところがいい。

マジ大好きだよ、ザギ!



「あははっ!!さあ、上がってキタ!!上がってキタ!!いい感じじゃないか!!」

「俺も上がって・・・」

「ユイ」

「・・・すんまっせ〜ん」



自分もザギの真似をしようとしたら、ユーリに止められた。

・・・いや、半分脅された。

素直に一歩下がった私を見た後、ユーリはザギを睨む。



「急に変わりやがったな」

「そう?さっきからこんな感じじゃ・・・」

「あははははははっ!!」



高らかに笑いながらユーリに斬りかかるザギ。

ザギの突然の豹変を見たせいか、今まで黙っていたエステルが前に出る。

ちょ、勇ましすぎるよ!



「わたしもお手伝いします!」

「くるなっ!」

「でもっ!」

「ああ、いいぜ!何人でも掛かって来い!」



ユーリはザギの剣を受け止め、諦めたようにエステルを肩越しに見る。



「無理しねえでやばくなったら退けよ」

「はいっ」

「ユイも無理すんなよ」

「了解しましたー!」

「簡単に終わらせないでくれよ?こんな闘いは久しぶりなんだからなあっ!!」



目の前の戦闘狂より味方のユーリの方が怖いってどうよ。

・・・あまり考えないでおこう。それよりも、戦いに集中集中。



「ユーリ!その人引き付けといて!一発でしとめるから!」

「任せた!」

「姫はユーリの援護よろしく!」

「え・・・あ、はい!」



エステルは一瞬戸惑った様子を見せながらも、ユーリの援護を始めた。

二人がザギを引き付けているのを見ながら、想像する。

一撃でしとめる・・・。鋭い攻撃、かな。

出来る限りこの部屋に被害を与えない術・・・。っ、これだ!



「いっくぜぇ!デモンズランス!!」

「ぐあああああ!!」



闇から出現した漆黒の槍が、ザギを貫く。

さっすが俺!初めてにしては上出来ですな!



「す、すごいです・・・」

「・・・」



喜んでいるのもつかの間、ザギは肩で息をしながら、

楽しそうに瞳をギラつかせている。

ユーリはザギを見て呆れたように口を開く。



「相手、完璧に間違ってるぜ。仕事はもっと丁寧にやんな」

「この人は、フレンじゃありません」

「どっからどう見ても違うよね」

「そんな些細なことは、どうでもいい!さあ、続きをやるぞ!」

「そりゃ、どういう理屈だよ。

 ったく、フレンもとんでもねえのに狙われてんな」



実はフレンもユーリ同様厄介ごとを引き付ける体質だったり?

そう言おうと口を開いて、やめた。

次何か言ったらユーリに何されるかわかんないし。



「ザギ、引き上げだ。こっちのミスで、騎士団に気付かれた」



再び危ないの雰囲気になり始めた時。

黒い装束をまとった、赤眼の人が部屋に入ってきた。

でた、海凶の爪(リヴァイアサンノツメ)。

赤眼は、今すぐこの場を離れるように言うが、

ザギは邪魔をされたことに腹が立ったのか、赤眼を殴った。



「うわははははっ・・・!オレの邪魔をするな!まだ上り詰めちゃいない!」

「き、貴様・・・!騎士団が来る前に退くぞ。

 今日で楽しみを終わりにしたいのか?」



ザギは再びこちらに剣を構えたが、

赤眼のその一言にピタリと動きを止める。

かと思えば突然赤眼を殴り出し、数回殴ったあと、

ユーリと私を見てにやり、と笑い姿を消した。

・・・目、付けられたかねぇ。



「ここもゆっくりできねえのな。

 ・・・女神像の話に賭けて、さっさとおいとまするか」

「ほーい」

「あの、ユーリさん」

「わかったよ。ひとまず城の外までは一緒だ」

「はい、あの、わたし、エステリーゼっていいます」

「んじゃあ、エステリーゼ、急ぐぞ」



・・・あ、自己紹介するタイミングなくなった。

まあ、歩きながら話せばいっか。





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