暗殺者



「オレの刃のエサになれ・・・」



ドアを壊し入ってきたザギはユーリを見て、

いきなり物騒なことを言う。

当の本人といえば、明らかにおかしいやつが入ってきたにも関わらず、

興味なさげに先ほどとまったく同じ体制のまま。

なんて図太いんだ。

ザギは無視されたことに怒りを覚えたのか、

近くにあった花瓶を構えている剣で粉々に割る。



「ノックぐらいしろよな」



ようやくザギの方を見たと思ったらこの台詞。

ちょ、違くね?



「オレはザギ・・・おまえを殺す男の名、

 覚えておけ、死ね、フレン・シーフォ・・・!」



言い終えると同時に、ユーリに斬りかかるザギ。



「お、戦闘開始?やっふーい俺も混ぜろー!」

「・・・おまえ、よくこの状況でそんなこと言えるな」



理由は簡単。

ザギは私が思うヴェスペリアの好きなキャラクターランキング

第2位に君臨するほどの強者だからだ。(あ、1位は断然ユーリだよ!)

ほんっとマジ好きだよザギ!



「ユーリ!私も前衛行く!」

「は、おま、あぶねえって!」

「大丈夫!まっかせろーい!」



ユーリと話しながら剣をしっかり持ち、ザギへと向かう。

ザギは私に気付き、剣を構える。



「なんだ、テメェは・・・」

「ただの女の子です」

「ユイ!」



ユーリのらしくもない焦っている声を聞きながらも、激しい戦いは続く。

そこでふと、自分が普通に戦えてることに疑問を持つ。



「・・・?」



自分から戦いに行っといてなんだけどさ、私なんでこんなに戦えてんの?

確かに剣は初心者なのに。

戦いの最中に考えごとをしていたせいか、隙が出来てしまった。



「まずは一人!」

「っ・・・!」

「ユイ!」



斬られる、そう思った瞬間。

同時に先に倒せばいいと本能が告げる。

そして頭に広がる、全てを焼き尽くすかのような炎のイメージ。



「は・・・?」

「ぐぁぁぁぁああああああ!!」



炎のイメージが出た瞬間、目の前のザギが燃え上がる。

その様子は、先ほどのイメージと同じ。



「何が起こったんです!?」

「・・・」



一体何が起こったのでしょうかね。

とりあえず、自分の身は守れたみたいだ。



「・・・」

「ユイ!大丈夫か?」

「・・・もち!」



ザギが前方でうずくまっている間にユーリはこちらに駆け寄り、

心配そうにこちらを見る。



「ったく、無理すんな」

「ごめんごめん。ちょっと闘争本能に火が付いちゃった」



これがゲーマーの運命なんです。

冗談交じりに言えば頭を撫でられた。

ユーリに頭撫でられたぜ!テンション上がってキター!!



「ククク・・・」

「わお、タフですなぁ」



前方を見ると、ニタリと笑いながらこちらを見つめるザギの姿。

ちょ、めっちゃこっち見てる!

嬉々とした表情を見る限り、戦いはまだまだ続くようだ。





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