騎士団長



「モルディオのやつもどうすっかな」

「・・・ああ、そういえばそんな奴いたね」

「・・・そいつ追って捕まったんだけど」

「記憶から抹消してました。テヘッ」

「・・・はあ」



また溜め息付かれちゃった。

もう慣れてるから気にしないけどね。


開き直っていると、ユーリは牢屋の入り口を調べ始めた。

先ほどの会話からか、レイヴンが少し驚いたように話しかけてきた。



「モルディオってアスピオの?学術都市の天才魔導士とおたくら関係あったの?」

「知ってるのか?」



ユーリはレイヴンに聞き返す。

初めてレイヴンに興味持ったよね、初めて。



「お?知りたいか。知りたければ、それ相応の報酬をもらわないと・・・。

 そこの女の子なら手を打ってあげるわよん♪」

「マジか。よし、今からそっち行く・・・」

「学術都市アスピオの天才魔導士なんだろ?ごちそうさま」

「い、いや、違う、違うって。美食ギルドの長老の名だ。

 いや、まて、それは、あれか・・・」



私の言葉を遮ってユーリがレイヴンの言った情報を言うと、

レイヴンは誤魔化しきれないほど焦り始めた。ユーリすげぇ。


すると、赤い鎧を着た威厳ある男の人が、私たちの目の前を通った。

出たな、アレクセイ!



「出ろ」

「いいところだったんですがねえ」

「早くしろ」



アレクセイは、レイヴンを牢屋から出す。

ユーリはその様子を驚いたように見ている。


アレクセイはレイヴンをつれてこの地下牢から出ようと歩き出す。

するとレイヴンは、私たちの牢屋の前でわざとらしく躓いた。

ユーリはレイヴンの近くにしゃがみ、何か会話をしている。


・・・ま、何言ってるか私には分かるけどね。

ヴェスペリア完全コンプした私をなめるなよ。会話ぐらい覚えておるわ。



「何をしている」

「はいはい、ただいま行きますって」



アレクセイはレイヴンを連れて行ってしまった。

ユーリは先ほどレイヴンからもらった鍵を見つめている。



「・・・そりゃ抜け出す方法、知りたいとは言ったけどな」

「良かったじゃん。これで牢屋から出れちゃうよ」



ユーリはゆっくりと鍵穴に鍵を差し込む。

すると、牢がけっこう勢い良く開いた。ちょ、勢い強すぎじゃね?



「マジで開くのな」

「・・・どうすんの?」

「行くしかねぇだろ」

「りょーかい!」



さて、脱獄ゲームの開始だぜ!





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