委員長と愉快な仲間達 | ナノ
3
『いやー、本当参ったわ。ドア引っこ抜くとか!』
委員長はケラケラ笑いながら腕に包帯を巻く。
別室で手当てしてもらっている俺は黙ってそれを見ていた。
女子と二人だけで話すなんて何年ぶりだ?
…いや、初めて…か?
『トラックに引かれたんだって?大丈夫?』
「まあ、痛ぇけど…そうでもねえ」
『すごいね。ケンシ○ウの生まれ変わりか何か?』
「…あ?」
『はは、ごめんごめん』
こっちとしては言っている意味が分からなくて聞き返したつもりだったのだが…
彼女にはイラついているように聞こえたらしい。
「あー、別に怒ってるわけじゃないから」
『あ、そう?なら良かった』
余分な包帯をハサミで切る手。
…細ぇ。
俺より一回り以上小さいんじゃないか?
長らく女子に近付いてなかったせいか、当たり前のことを思った。
こんな手を握っちまったら、あの野郎の言う通り、粉砕しちまうかもしれねえ。
「俺が恐くないのか?」
『え?』
委員長は驚いて俺を見上げる。
「…普通の女子は、あんまり近付いて来なかったからよ」
『それは遠回しに私が普通じゃないって言ってるの?』
「そうじゃねぇよ。…日本語は難しいな」
無傷な方の手で頭をかく。
委員長は俺の言いたいことが分かったのか、しばらく考えて言った。
『恐くはないかな。だって新羅に紹介してって言ったの、私だし』
「え?」
『そしたらなんか臨也まで付いてきてさー。こんなことになっちゃうし。
今日は平和島くんと一緒に兄弟の盃を交わそうとしてたのに…』
兄弟?盃?
よく分からない単語が出てきて混乱したが、とりあえず恐くはないらしい。
「そうか。…ありがとな」
『?…何が?』
「なんつーか、嬉しかったんだよ。アンタが怯えないのが」
『平和島くん…』
「あの臨也とかいう野郎は気に入らねぇけど、委員長はいい奴だな。
兄弟の盃?はよく分かんねぇけどよ、また今度な」
『…………』
ありのままの気持ちを話すと、委員長は固まって、近くにあったクッションに抱きついた。
「おい!どうした!?」
『ヤバイよもう!死ぬ!萌え尽きて焼死する!
てかアレよね。平和島くんって天然よね。天然でイケメンよね!』
「あ?…いや、言ってる意味が…」
「おーい、臨也帰ったからもう出てきても…って、何してんの委員長」
『見たら分かるでしょ!平和島くんへの欲求をクッションではらしてるのよ』
???
混乱する俺を見て、新羅はため息をついて言った。
「だから変わり者って言っただろう?
ま、僕と臨也といる時点でかなりの変人だけどね」
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