委員長と愉快な仲間達 | ナノ
2
─────…
俺と委員長は新羅の紹介で出会った。
忘れもしない、あのノミ蟲と同じタイミングでだ。
「静雄」
来神学園のグラウンド。
新羅の呼ぶ声に振り向くと、短ランを来た男とセーラー服の女がいた。
「中学で一緒だった折原臨也。まぁいい奴ではないけど…
っていうかかなり嫌な奴?」
「酷いなぁ新羅」
「いや いい意味。
で、こっちが山田頼子。僕達は委員長って呼んでる」
普段女っ気のない新羅が女子を…しかも、美人な方だ。
それを連れてるなんて、珍しいにも程がある。
『平和島静雄くんだよね?私も新羅とは中学で一緒だったの』
「美人だけどかなり変わり者だから騙されないようにね」
『そのセリフ、そのまま金属バッドでで打ち返すわよ』
山田…委員長は新羅をひと睨みした後、俺を見てニコリと笑った。
『よろしくね、平和島くん』
目の前に手を差し出されて、一瞬戸惑う。
俺に握手を求めてくる女子なんて初めてだ。男でさえ皆無だった。
しかし物怖じしない、真っ直ぐ俺を見てくれる人間に会ったのは久しぶりだ。
俺が委員長の手に触れようとした時、彼女の横にいた男が口を開いた。
「やめときなよ、委員長」
「…あ?」
「シズちゃんと握手なんかしたら手の骨が折れるどころか粉砕だ」
『…シズちゃん?』
何それあだ名?と委員長は首を傾げた。
新羅は新羅で楽しそうに目を輝かせている。
だが、今の俺にそんなことはどうだってよかった。
ただ分かることは、俺は、こいつが、心の奥底から、
「………気に入らねえ」
それから、俺と臨也の殺し合いは始まった。
池袋全体を使う、いわばこれは戦争だ。
「くそ、」
臨也を見失って、トラックに跳ねられた傷を治療するために新羅のマンションに行った。
「…あ、生きてたんだ」
「…─っ!…殺す!」
たいした傷でもないのに悠々と新羅に手当てされている臨也。
玄関のドアを引っこ抜いて投げつけようとしたら、セルティに止められた。
《お、落ち着いて!》
「殺す殺す殺す殺殺殺殺殺殺」
「委員長ー、ちょっと静雄の手当て頼んでもいいかい?」
『えー!』
不満な声を出しながらキッチンから出てきたのは、さっき新羅に紹介されたばかりの委員長。
その姿を見て無意識にドアをふりかぶった手を止めた。
『……とりあえず、ドア直してきなさい』
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