Dream Tanka


夢短歌。多いのは横にスクロールします。
約三十一文字で夢活動をしているだけです。

聖家族/XANXUS?




妊む子が神の子なれば陵辱も聖別されてわが母は処女
みずからを偽神と知らぬみどりごの崇められやがて屠られるまで
愛憎の憎悪は愛に比例する無自覚に()しき花より焚べる
癒えて尚疼く疵もつ青年の膚と闇とを分つ焔光
紅腫瘢痕(ケロイド)の蛇囁くに神はなく唯あの椅子に座すだけでよい
火を呑んだ皇子の末路 戴冠をすべての民に望まれるまま
脱ぎ捨てし革の外套(コート)は抱擁を待つかの如く腕を広げて
耄碌の家僕が子供部屋と呼ぶ部屋、火を放つならば其処から
鑑定士鏖殺の地に真贋をもはや問われぬ 《聖家族》(サクラ・ファミリア)




養殖場の天使たち/特になし





生えたての牙を見せ合い少女らは無垢に互いの咽喉に咬みつく
薔薇色の頬に毛細血管が透けて躑躅の花脈の如く
鍵穴に舌を挿し入れ官能を探る少女のけだものの性
早熟れの臓腑を隠し今はまだなめらかな膚そっと撫で合う
純白の服を穢れの試験紙と気付けぬ天使から間引かれる
弔花の香肺に満たして吐き出して甘く爛れた呼気を嗅がせて
楽園の果実の赤を腑に入れし罰として滴る経血は
恋という甘美な死因奪い合うように口からまぐわっていく




神の貌/特になし


装丁の美麗さで選りすぐられて読まれずにいる本だけの書架
五指を組む手と手のあわいその闇に祈りは神を捕らえんとして
愛情と名付け損ねて靴先にいつ躙ったか蝶の鱗粉
憂鬱の女神の撒いた香水のペトリコールと百合の死臭と
「もしぼくが灰になっても心窩さえ迷わず指せるくらい覚えて」
欠落を以てはじめて幸福を知ったあなたのかたちをしてた
星に棲むことの悲哀よ光ありふれて林檎のジャムまで綺麗
凍傷に至らぬほどのつめたさがつめたさのまま心臓にある
透き徹る水でさえ致死量をもつ世の祝福を飲み乾してみろ
神の貌いつの間に挿げ替えられて恋情よりは呪いに近い
触れられし痕に非ねど密やかに鎖骨の痣を聖痕と呼ぶ
星空に手を差し入れた切り裂くとわかってたって光に触れた
罰されてみたくて罪と名付けたのだから貴方に裁いてほしい
似ていると言って笑った(花だった)ただそれだけのさよならだった




雨傘の恋/特になし








閉じるとき幽か軋んで晴天の明日を呪う雨傘の恋




夏の瀬見英太クソ短歌







日差しとか波とか星の煌めきを(キミ)に喩えた歌を贈るな(笑)

涼しさを求めた末の†着こなし†で恋心まで冷めてまうやろ(笑)




似ていた/星海



定義からして避けられぬ孤独さえ一番星はきみに似ていた

うつくしく手折る人ほどたくさんの花を殺めてきたんだねって

遠いから光って見える降り立てば地面になってしまう星々

白くなる爪を切るたびまた少しきみを失うような夜です

青蜜柑ずたずたに剥くこんなにも光まみれで海に行きたい

二つないから一つ星、染まらないゆえに純白、きみだけがきみ




蟻と鯨/牛島



神様のせいにしたくて幸運と呼んで放した掌がある

歩むとは踏み躙ること疑いもなく踏み出して花を散らせば

寄る辺ない祈りとしてのがんばれの命令形が相応しくない

罪じゃないから赦せない弱くないから護れない ギフトと呼ぶね

強いって自由だろうか責任のように荷物を攫う左手

もし蟻と鯨だったらお互いを認識できず生きて死んださ




終わりの空/概念






青春にトドメを刺した感触を知る者だけがこの先へ行く

室内で幕引くゆえにこの夢は終わりの空の色を知らない

滲んでも尚見えるほどいつだって見上げ続けた天井だった




海を渡る鳥/星海


雪とける擬音が彼の心音と定義されゆく淡いまどろみ
私だけ起きてるうちにちっぽけな時差から愛でる練習をする
あつらえた棺を気取る親しげな風を纏って春鴎来る
どうしても飛び立ちそうで風の強い日にはビスクをどろどろ煮込む
いつだって理由がほしい白よりも白い白を見かけたら教えて
光から切り出すゆえにしあわせは光に融けてうしないやすい
永遠がないことを喜べるほどにどうすれば大人になれますか
風を読む装置としての玄関のスワッグかれをみつけないでよ
繋ぎ留めたいわけじゃないって金糸雀の死骸の重さほどの種を蒔く
渡り鳥の死出の旅路に転々と転々と(この家だってそう)
特別じゃなくなるくらい砂糖を入れて毎朝寝坊してくれていい
彼ならば最後の海になれるはず明日すべての海が消えても
見つけたら名付けてもいい星に名をつけるみたいに呼ぶね おはよう




いつかは遠い国の言葉で/及川


東北の訛りの他に紛れ込むたまの陽気な異国の響き

夜な夜なに削がれゆく月まだ痛むことをどこかで嬉しく思う

さびしさにかたちはなくてサイダーの瓶の光と陰を借りたの

鼻唄を聴かせてきみの住む街の風の調べを教えてほしい

振り返るのは許さないけどきっと振り向くきみを許してしまう

母国語を忘れたように口籠もるせつなさを隠すための抱擁

またねってパスタみたいな舌触りアスタラビスタひとつください





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