信助がまだボーっとしている中、三国達も信助の周りに集まってきた。

「あぁ、とうとう出来たド!」
「……やった…やったあー!!」
「スゴいよ!スゴい必殺技だよ!」
「うん!今度こそ本当に出来たよ!!」

必殺技が出来た事に一年生達ははしゃいでおり、三年生達もまた嬉しそうに褒めていた。そして、天馬達は思い出したように「あ」と声を上げて、三国達の方を向いて勢いよく頭を下げた。

「ありがとうございました!」
『「ありがとうございました!!」』
「全く、何度失敗しても止めねーんだからな」
「天馬が三人に増えたと思ったド」
「え?」

三年生達に手伝って貰った事にお礼を言えば、車田と天城の言葉。諦めず必死に特訓をした所為なのか、天城の言葉に悠那は天馬と顔を合わせてから次に信助と顔を合わせる。
て、天馬が三人…

『……』

どうしよう…半端なくウザ…ゴホンッ…

「しかし強烈なキックだったな。あれを蹴り込まれたら俺だって防げないかもな」
「それって必殺シュートだよね!?」
「必殺シュート…?」

三国が笑ってそう言えば、天馬が完成した信助の必殺技がDF技ではなくシュート技ではないか、と言ってきた。確かに先程の技は相手のボールを止めるだけでなく威力を溜めてから、ゴールへと跳ね返していた。天馬がそう言ってくれば、信助は再び頭の上に疑問符を浮かばせてきた。すると天馬は、そうだよ!!と嬉しそうに頷いてきた。

「“ぶっとびジャンプ”はシュートかあ…!」
『後は信助がどう必殺技を強化して行くかだねっ』

シュート技だが、ちゃんと信助の望んだブロック技も入っている。彼はもう雷門の足手まといではない。それが何よりも嬉しかったのか、信助は嬉しそうな顔をして、悠那の言葉に頷いた。

「信助の必殺技で俺達は更に強くなる。やろうぜ、ホーリーロード勝ち抜くぞ!!」
「「おぉ!!」」
『「「はい!!」」』
「俺ももっと頑張るぞ…!!」
『私だって…!』

それぞれ、自分の闘志へと火を灯して空へと拳を作る三年生一同。そして天馬の頑張りを見た悠那もまた、覚悟を決めたかのように作っていた拳を胸の位置まで持ってきた。
自分の必殺技を考えなきゃ…このチームの皆と勝つ為に。

…………
………

『いぃたたたっ!!痛い!痛いよ葵!!』
「我慢しなさいよ!!本当にもう…信助の為だからって無理しすぎよ!!」
『だーって…』

悠那は信助の必殺技が出来上がった後、葵に真っ赤になった手に湿布や包帯を巻かれていた。葵に痛いと訴えれば、葵は呆れるような声を上げる。やはり悠那の手は葵に消毒液をぶっかけられており、豆が出来ていた場所はかなり瞑られていた。そこへ消毒液をたっぷりかけられても我慢もしたくても出来ない。葵も春奈と手当てが似ており、容赦がなかった。これが愛情のムチだと思いたい。

『でも包帯する程…?』

両手を見れば、完全に自分の皮膚の色が見えない。というより、皮膚すら見えない。豆が出来ただけでこんなに包帯されたのは今まで生きてきて初めてかもしれない。悠那がチラッと葵を横目で見ながら言えば、葵は済まし顔で救急箱の中に余った包帯の残りを入れた。

「念の為よ。どうせ湿布外すでしょ帰ったら」
『(Σギクッ)そ、そんな事しないよ〜…』
「ふーん。なら良いけど…」

悠那の外さないという言葉を葵は信じられないと言わんばかりに半目になりながら悠那を見る。そんなこんなで二人はやり取りをして、悠那は天馬と木枯らし荘へと帰って行った。


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