#05


『あ』
「あ」
朝、病院前で京介とばったり会ってしまった。やばい、気まずい。そう思ったのは一瞬で、謝らないと、という気持ちが拡大してくる。
どうしよう、京介きっとすんごい怒ってるって!と心の中で何回も"ごめん"と言おうとするのだが言えないのが私だったりする。
「…ごめん、昨日は」
『えっ!?そ、そんな…私が叩いたりしちゃったのが悪いんだよ…ごめんね』
京介が自分から素直に謝るとなんだか今さっきの"謝らなきゃ"という気持ちが全て吐き出されたように気がして気持ちが良かった。
これが本当の喧嘩ってヤツなんのでしょうか。
本当の喧嘩にしては期間が短いのかもしれないけど、私にとってはとても悩むことだった。
どうやって切り出そうか、どうやって謝ろうか、どうやったらもう一度一緒に笑ってくれるだろうか。そんなことばかり。
『本当ごめん!!京介の気持ちも考えないで…私って本当バカだね』
「ああ」
『!?』
「でも、バカだけど、やっぱ俺の姉貴分だよ名前は」
京介がフッと優しく微笑む。小さな頃の様に笑ってくれて嬉しかった。胸が弾む。
『…京介、ありがと。んじゃあ優一のお見舞いに行きますか!』
「…ああ」
もう一度私に向かって微笑んだ京介の顔は私の好きな顔だった。

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