#03


「こんな所にいたのかよ…兄さんが心配してたぞ」
『何よ……』
「何だよ…俺の事調べたとかじゃねえよな」
『何で知ってるでヤンスか!?』
「俺は栗は嫌いだ」
『酷い!!大先輩に失礼だよー』
「うるせえ、とにかく俺の事どこまで調べたんだ?」
『えーと…フィフスセクターとかまでかな…』
「チッ」
『なんで舌打ちすんの!?』

「このことは、兄さんには言うな」
『分かってるよ……』
私だって大体同じだもの…
『でもさ、なんでフィフスセクターなんかに入っちゃったの?あんなに大好きだったのに』
「……フィフスセクターの聖帝が、言うことを聞けば兄さんの治療費を出してくれると言ったんだ」
『…それだけ?』
「…ああ」
こんなむつかしい顔の京介、見たことなかった。私だけ悩んでたみたいで恥ずかしい。
そして気付いたら京介のこと叩いてた。
『おバカ!!』
「…は」
『優一への想いはあってもいいと思うけどさ、別に自分の大好きなサッカーを使って優一を戻さなくてもいいよ』
「なッ…」
大丈夫、京介だけにこの重みは負わせない。私だけでも十分だわ。
「俺はどうなってもいい!!兄さんと名前が幸せならそれだけで俺も幸せなんだ!!」
『ばか!!京介のばか!!それはこっちの台詞よ!私の方がバカだし、勉強できないし、これから働いていけばお金だってたまるはずだもの!!』
「でも聖帝は"一緒たっても稼げないような額"って言ったんだ!実際その通りだろ!?」
『そんなのわかんないじゃない!!やってみなきゃわかんないのよ!!私は人の言ったことを信じるんじゃなくて、自分を信じるわ!!』
酷い口喧嘩が長く続き、お互いに息切れしてきた頃だった
「…………勝手に、しろよ…」
京介からこの会話を切った。
私は京介と喧嘩したかったんじゃないのに、どうして喧嘩してしまったのだろう、と公開する。
京介はあんな思いして、あんな顔して、今まで辛かっただろうに。
私は気付いてあげられなかった。その事について一番腹立たしかった。

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