肌身離さず秘めたる恋

コレ の文字数的に入れられなかった部分

「え、ちょっと待って。侑くん、それ……」
「ん? せっかくやから見える場所に入れとこ思うて」
「だ、だめだよっ」

 私の慌てる声なんて侑くんには届かず。「うん。ええな」と頷く侑くんの視線は侑くんのスマホに注がれている。いやよくない。さすがによくない。スマホケースは何を付けててもいいけど、クリアケースにプリクラを挟むのは私のNGをかけさせて頂きたい。

「それ見られたら……さすがに怖い」
「別に見られても構わへんけど……なまえちゃんのこと思うたらやめとったがええか」
「ありがとう、ごめんね」

 聞き入れてもらったことに感謝と謝罪を口にすれば、侑くんは「ええよ」と穏やかに笑い返してくれる。そのまま手にしていたスマホを操作し、「これ買ったし」と差し出す画面には自分のチームが販売している手帳型のスマホケースと“決済完了”の文字。

「えっと……?」
「手帳型やったらプリクラ入れとっても見えにくいやろ?」
「えーっと、プリクラをスマホケースに挟むのは確定?」
「だって1番目に入るし。なるべく人には見せへん。……それじゃあかん?」
「だ、め……じゃないけど……。人には見せないで頂けるとありがたい……です」
「うん。とっておきにする」

 その笑顔を見るともう何も言えなくて。手帳型ならいいかなと思い直し「ありがとう」と微笑み返した。

 “サムから自分大好きかってツッコまれたやん。なまえちゃんのせいやで”というラインが届いて爆笑することになるのはそれから3日後のこと。
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