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おーばーおーばー

※逃げまわる編入生*屋上の主


どうしてこうなった?

(なーんて、考えたところでわかんねーか)

転入試験で満点を取ったことがいけなかったのか。此処の風潮を知る前に自我を通したのが悪かったのか。この学園の人気者に刃向ったのがいけなかったのか。とにもかくにも、俺は逃げている。生徒会連中から。風紀委員の連中から。親衛隊の連中から。生徒会連中は何をトチ狂ったのか俺の事を好きだと言い、傍におきたがった。風紀委員の連中は俺の喧嘩の強さを知り、仲間にしたがった。親衛隊の連中からはやっかみを受け、制裁を受けている。傷ついた振りでもしてやればよかったんだろうが、生憎俺はそんなにできた人間じゃない。どうでもいいことはどうでもいいと、割り切るようにと教わり育ってきた。

「―――――っ!待ちなよっ!」
「待てと言われて待つ馬鹿がどこにいんだよアホかっ!!」

Q.何故俺がこの学園を辞めていないのか?
A.叔父である理事長が辞めさせてくれないから。

何やら腐男子であるという叔父は幼い頃から俺が強くなるように仕込み、頭のつくりまで変えてしまった。だからといって、まあ、俺は健全な男子だ。同性に恋愛感情を抱くことなど有り得ない。と、いうか、有り得てほしくない。俺は至って、世間一般で言うノーマルだ。そう思いたいわけなので。

「やっと見つけました!」
「こんなとこいないで仕事しろおめーら!」

ほんっと、この学校来て目を付けられてからは逃げる事しかしていない気がする。ちなみに特待枠で編入したため、授業免除というありがたいものがある。試験は直前に復習するだけで満点を取れる自信があるため問題ないが、それ以外の事が問題だ。何せ、落ち着ける場所がどこにもない。一日中逃げ惑い、寮部屋に戻ったところで生徒会役員が無断侵入していることがあった。

(あ、もしかして)

俺が誰かと付き合えば、この茶番は終わるんだろうか。そうなのならば、ダミーで付き合ってもらえばいい。

「てめぇ「おれと、付き合って下さい!!!」………………はァ?」
「だから!俺と!!付き合って下さいっ!!!駄目ですか!?お願いします!!ぜひぜひ俺と付き合って下さい!!!損はさせませんからっ!!!!」

辿り着いた屋上で、俺は大きな声で告白した。頼む、受けてくれ。と、思いながら。後ろから追いついてきた奴等が呆気にとられた表情をしていたが、そんなことを気にしている場合ではない。視線で訴えかければ臨戦態勢に入っていた彼はそれを解き、にやりとあくどい笑みを浮かべながら、言った。

「いいぜ。付き合ってやるよ」
「やったー!!!てわけで、お前等もう俺に付きまとうなよ!俺はこの方とラブラブな学園生活をエンジョイするんだから!」

それからしばらくして俺のもくろみ通り、追いかけっこは収まり、学園の空気も以前に近い形に戻ったらしいが、俺が本当に彼の事を好きになってしまうのは、予想外の展開だった。

2011.11.12
加筆 2012.10.10


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