その考えは正しいの?
※なんでどうして病同室者+転入生+会長
「俺とお前は友達だ!」
「なんで?」
「名前知ったからに決まってるだろ!」
「どうして?」
「名前を知ったら友達なんだ!!」
「なんで?」
「だから!名前を知ったら友達になれるんだよ!!」
ふーん。と、言い、黙り込んだ美形は、何かを考えているようだった。転入生はだんだん自分の置かれている状況を理解できなくなってきたが、とりあえず友達100人できるかな、計画(仮)を進めるためには同室者の協力が必要不可欠だと考え、協力を仰ごうと口を開いた。
「それで、友達100人できるかな、計画(仮)の、協力してほしいんだけど!」
「どうして?」
「そんなのっ」
「なんで?」
「っっっぅ、」
先程からなんで、と、どうして、しか言っていない同室者に、さすがの転入生も心が折れ始めたのか、答える姿に覇気が感じられなくなっている。
「うわあああああああああんんっ」
唐突に泣き始めた転入生に困惑したのか、その同室者は眉を寄せ、怪訝そうな表情を浮かべている。優しい言葉をかけられることを待っているのか、転入生は殊更に泣き声を大きくした。
「どうして泣いてるの?」
ぴた、と、声をかけられたことによって、転入生の泣き声は止んだ。
「どうしてそんなに声が大きいの?なんで小さな声で話すことができないの?どうして僕が出るのを待たずに僕の部屋の扉を勝手に開けたの??なんで生徒会長が一緒にいるの??どうしてさっきからずっと、生徒会長がいるの???」
実は転入生の後ろにいて、一緒に室内に入ってきていた生徒会長は、自分の存在をないものとして転入生に質問ばかりしていたはずの彼を、驚いたように見つめた。が、当の本人にとってそれは、どうでもいい問題だったらしい。
「なんで友達100人作りたいの?どうして名前を呼んだら友達になるの??」
にこにことしながらもなんで、どうしてを繰り返す同室者を、転入生は呆けた顔で見つめ、生徒会長は答えを待っている様子の転入生の同室者に向かい、口を開こうとした。が、それは出来なかった。
「名前知って、呼んだら友達、って言う、その考えは正しいの?」
恐らく、彼は単純に純粋に疑問に思っているだけなのだろうが、転入生はそうは取れなかったらしい。何事かを叫んで部屋を飛び出して行ってしまった。
「どうして会長は転入生を追いかけて行かないの?」
不思議そうに言われた言葉に、生徒会長は答える。
「なんでどうして病も、厄介だな……」
「……………あれ?なんで知ってるの?」
「少し前に引きこもりになったヤツの事を調べてたらお前のことが出てきたからだ」
「そうなんだ」
思い当たることがあるのか、彼が質問をしすぎたせいでその生徒は引きこもりになったのだが、その事は気にならないのか、転入生の同室者は再び、最初の質問に戻った。
「それで、どうして転入生を追いかけなかったの?」
「ああ、それか。部屋の前で別れようと思ったんだが、無理矢理連れ込まれてな。俺が案内を頼まれたのは寮部屋の前までだ。よって、案内はすでに終了している。追いかけなければならない理由もないしな」
それから数時間、何故か転入生の同室者と生徒会長は、聞かれ、答えるやりとりを続けていた。一つ一つ答えてくれた会長に、ふわり、と、転入生の同室者は笑いかけた。
「どうして、貴方は僕の問いにちゃんと答えてくれるの?」
「さぁ、どうしてだと思う?」
いつも聞く側である彼は困惑し、考えるような素振りを見せた後、どうしてだろう。わからないや。と、呟いた。
2011.09.27
*そのうち会長となんでどうして病はくっつく。多分。転入生が空気。