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お先真っ暗?

※感性破綻転入生と親衛隊


巻き込まれ体質って、あるじゃないすか。たとえ自分が望んでいなくても、知らないうちに巻き込まれてしまう、アレ。多分おれの人生は、巻き込まれ体質のせいで最初から最後まで真っ暗なんだと思う。でもだからって周りも巻き込んだらいかんよなあ。と、一人、親衛隊から呼び出しを受けた場所に、30分以上も前からいる。
なんか意味わからんうちに気に入られてしまったが、生徒会の連中が自分のことを探さないようにクラスの委員長に『もしも生徒会の人が来たらおれは少し体調が悪くて寮に戻って爆睡するそうです。って言っといて。もしそんで部屋に来ようとしたらそんな暇あるなら仕事片してろ。って言っておいて。それでもおれの部屋行こうとしたらやることもできんのか、幼稚園児が。やらねーなら大事な部分ちょんぎるゾ★って言っていました。と、淡々と告げといて』と、言って教室を抜け出してきた。転入してからのおれのイメージとはかけ離れてるけどもういいや。とか、思って。淡々と言ってやったら委員長は少し、驚いてまるでおもちゃでも見つけたかのように、目の奥が光った。けど知らない。どうでもいいし。
まあ、どうにかなるだろう。どうにかなると、信じたい。もしかしてもしかしたらまんがいちにでも生徒会の奴らの興味の対象が、委員長に行ったりなんかしたら。おれとしちゃあ万々歳なわけですが。そうだったらいいのにな。言って良い事と悪い事の区別はついてるから俺は言わないよ。委員長、いつもつまらなさそうにしてるね。おれと一緒にいれば楽しい云々とか、言わない。めんどいし。うまれてこのかた、この巻き込まれ体質で唯一ついていたことと言えば強靭な精神力が着いたことくらいだ。何が起ころうと、まあ、大抵のことは耐えられる。と、言うかなんとも思わない。そりゃあもう、暴力振るわれようが、精神的攻撃受けようが、強姦されようが。本当に何とも思わない。見事なくらいに反応がつまらない、らしい。だからおれのこのキャラクターだって正直、作り物のわけだ。張りぼてで出来たその場しのぎのヤツ。でもまさかこのキャラクターがこんな事態を巻き起こすだなんて。こんな腐った学園なら、最初から普通に行けばこんなこと起こらなかったのかもしれない。もしかしたら。

「――――――――あー、死にたい」

時間10分前か。と思い、立ち上がれば何故か立ち上がった視線の先に、ちわわ達がいた。あれ、もしかしていまの、きかれた?

「「……………」」

双方共に、無言。いやもう制裁するならしちゃってくださいよ。別に何が起ころうがどうでもいいし。おれだけを制裁対象にするなら別に。ていうかこの顔ぶれ、はじめてな気がする。

「し、死にたい、て、今……っ」
「あーうん。もう、めんどくてね」
「キャラちがっ」
「ごめん?」
「な、な、なっ!?」
「いやー、なんかすげーハチャメチャなキャラクター演じてたら、そのうち感情とかいろいろ、戻ってくるかなーとか、思ってみたりして。けどまあ無理みたいなんで、」

もういいかも。と、遠くを見ながら言えば、さっきからツッコミまくってるちわわが何故か俺の手を握ってきた。

「大丈夫!戻ってくるよ!!」
「なかばなんそ」

逆に読んでね、そんなばかなって言い飽きたから逆に言ってみたけどなるほど、これは意味不明だ。目の前の人たちもそう思ったのか、可愛らしい男にしては大きな瞳を見開いている。ていうか今この状況でいろいろ戻ってきたら困るし。制裁も強姦も耐えられなくなったらおれ嫌だ。と、思ってもない事を言ってみたら目の前の子が青ざめた。目の前の子の後ろにいる二人はどうやらその子の変わりように驚いているようだ。

「あの、あのね、今日は、違うの」
「えー」

何が、すか。と、きけば、言いにくそうに彼は言った。

「あの方たちが、また前みたいに仕事をしてくださるようになったから、」
「あー……幼稚園児って言ったのが効いたんすかねー」
「「えっ」」
「そ、そんなこと言ったの!?」
「まあ。そんでも時々おれんとこ押し寄せてきますけどねーあの人ら」

一体おれの何が良いんだか。と、言えば、痛ましそうな顔された。何故だ。

「え、と、えっとね、とにかく、ありがとう!」
「いや、別にお礼言われるようなコトしてないし」
「それと、あの、ご、ごめんなさい!!!」

さっきから見てる後ろの二人は一体何のためについてきたんだろう。それが少し、気になる様な、ならないような。

「ぼく、親衛隊じゃなくて、あの、君の親衛隊、創らせてもらえないかな、って思って。そしたら多分、あの、」
「へ」
「最低限は君のこと、守れると思うんだ!!」

なんだそりゃ。と、思ったおれの目の前で、ちわわたちが一斉に頷いていた。もうだめ、キャパオーバー。さすがのおれでも理解不能。

2011.09.22


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