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あくまで友人関係

※探される会長とその友人


転入生たちが生徒会長を探しているらしい。

「うっへぇ、マジでか」

やむを得ない事情で生徒会長になってしまった友人は、目を瞬かせた。隈がひどいのは複数人ですべき仕事をすべて一人でこなしているからだろう。ここまでさせておいて、生徒会長が仕事をしていないと抜かす他の生徒会役員はただのバカとしか言いようがない。
俺は知っている。一見平々凡々と見える彼が生徒会長の正体であり、唯一仕事をこなしているのがコイツであるという事を。何故か生徒会役員ですら知らない生徒会長の正体が、コイツであると知っている。
生徒会の仕事は機密事項の事もあるらしく、一生徒が軽々しく手伝えるものではない。一度友人に自分を補佐にしてくれてもいい。と、名乗り出た所拒否された。なんでも、アイツらにお前を会わすわけにはいかない。だそうだ。会わすも何も、おめーだって会ってねーだろうが。と言えば、何故か曖昧な笑みが返ってきた。
ぐらり、と友人の体が傾く。

「圭」
「ん」
「お前もう、そろそろ限界ちけーだろ」
「まだいける」

いける。と言った瞬間、またぐらり、と体が揺れた。
地面にぶつかる直前、その身体を自分の方に引き寄せた。そのまま抱きしめ、強がっている友人の背を、あやすように一定のリズムで叩く。そうすれば、友人は俺にしがみついてきた。それでも泣くようなことはしない。人一倍プライドの高いコイツは、俺と二人きりのときか、自分一人の時しか泣かない。教室内、クラスメイトが集まり、教師もいる場所で、コイツは絶対泣かないだろう。ただ、多分もう精神はずたぼろだ。友人の場合、特別メンタルが強いわけじゃないから当たり前ともいえる。

「しきぃ」
「んー?」
「おれ、なきそー」
「おーけーおーけー、泣いて良いぜ?」
「おっとこまえー」

なかねーよ。と、答えられ、そーかい。と、返す。
今思ったんだけど、正直平凡と平凡が抱き合ってるってものすごくシュールじゃないか?しかも今はなんと授業中。クラスメイトの一部は何がどうなってるかわからない、という表情で俺らを見ている。ま、そんなこと関係ねーわけだが。

「もういっそばらしちまえよ」
「やーねダーリン。何をばらすって言うのよ?」
「しらばっくれんなよ?ハニー。てめーが生徒会長でてめーしか仕事をしてねーってことを、だよ。その上授業は皆勤賞。このままじゃぜってーぶったおれるぜ?」

『はあああああああああああああああああああああっ!!?!?!??!??!??!』

「「うっせ」」

そう大きな声で言ったわけでもねーのに、クラス中が沸いた。そのうちの数人は鼻息荒くメモ帳なんか取りだしている。そういやこのクラス、広報部居たっけ。めんど。今まで誰も知らなかった生徒会長の正体が分かったらそりゃあ広報魂が疼くわな。納得。

「ダーリンひどぉい。どぉしてバラしちゃうの?」
「そりゃあ決まってんだろ?オメーの事が大切だから、だ。わかったか?ハニー」

解ったらそろそろ授業中寝て体休めるってことを覚えろよ。と言えば、友人はあ、その手があったか。と、呟いた。

2011.09.15
*何処に向かいたいのか分からなくなったので途中終了。


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