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02

※我が道を行く同室者とその友人


さてさてあれからというもの、やはりというかなかなかどうしてうまくいかないもので、俺は転入生に付きまとわれていたりする。周りの美形達は睨んでくるけど怖くない。ていうかいまだに誰かを知らない。生徒会って呟いて顔を顰めたから多分生徒会じゃないかとは思うんだけど。何か言われていたところで興味ないことは忘れてしまうたちだし、こればっかりはしかたない。
何か知らんけど美形増えてるな。いったい誰だ何事だ。どっかのパレードかい。

「ゆーくんゆーくん」
「どったのしょーくん」

腐男子であるという友人に向かい、俺は言った。転入生の事?しらねー。ムシムシ。なんか不良っぽい人が掴みかかってきたから転入生の方に投げ飛ばしてやったら後ろの美形まで倒れてすごい形相で見てくるんだけど、しらね。関係ないし。あ、チワワっぽいクラスメイトは顔赤くしたり青くしたりせわしない。少し可愛いかも。名前知らないから誰かは分かんないけど。

「転入生の後ろにいるひとたちって、どこだれなにさん?」
「ぶっは!」

盛大に噴かれた。ていうかクラスメイトまで驚いたように目を見開いている。そんなに大きな声で言ってなかったはずなのに、バッチリ聞こえてるみたいでちょっとどころかかなし恥ずかしい。だからか、さっきまで騒いでいた転入生、並びに美形の皆様もぽかん。と、してて。そんな顔したら美形台無しじゃん。折角いい顔に産んでもらったのに勿体ない。

「しょーくん、ほんき?いや、しょーくんだからなー、しょーくんだもんねー、しかたないよね」
「えーだって興味ないと忘れるじゃん。必要ないじゃん。容量の無駄。記憶の無駄遣い。余分なことに使う脳みそは生憎持ち合わせていませんー」

なんか全員に変な顔されたんだけど、そんなおかしなこと言った?俺。まあいいか。ゆーくんはゆーくんで笑ってるし。心の中でなんて思ってるかなんて知らないけど、とりあえず唯一無二の友達が笑っててくれればオールオッケー。ノープロブレム。

「しょーくん、ちなみに転入生の名前は?」
「え?転入生??えーと……」

なんだったっけ?と言えば、周りは騒然。俺呆然。だってしかたないじゃん。知らねーもんはしらねーんだよ。第一覚える気がないし。

「うーん。じゃ、おれの名前は?」
「一刻悠斗」
「おー!すげーすげーおぼえてんじゃん」
「馬鹿にすんなよ。親友の名前くらい覚えてるさ!たとえお前が腐「ぎゃー!!それメッ!言っちゃメッ!!!」えー」

なんかよくわからないけど。とりあえず呆然としてる皆さまはどうでもいいし。喚いてる転入生もどうでもいい。まりもじゃなくなっただけまだ近づいてもいいかな、って思うけど。ほら、やっぱ見た目は大事じゃん?見た目重視、中身その次、みたいな。俺の場合はどっちでもないけど。第一印象重視、第二印象で確定。みたいな。

「橋本未空って言っただろ!?」
「覚えてない」
「ひどい!!なんでなんでなんで!?!?どうして!!??」
「ヒステリックだね転入生君。あ。俺用事あったんだった」
「「「え、この流れで!?」」」

おお、クラスメイトとゆーくんがはもった。

「今日はウエディングケーキ作る約束してたからそろそろいかねーと。結構時間かかるから昼休みからやんねーと間に合わん」
「……しょーくん」
「どったのゆーくん」
「誰に頼まれたの?」
「えーと、えーーーーーーーと、ん、と、あ、おーかみさん!」
「おーかみさん?」
「そうそう、俺のさー、レモンクリームパイ食っておいしいって言ってくれて、今度身内で結婚式開くから是非ウエディングケーキ作ってくれって。俺でけーケーキ作るの初めてだからめちゃくちゃ楽しみで。ていうか楽しみすぎて、ほら、みてこの隈。楽しみすぎてねれんかった」

転入生君たちは空気と化してる。どうでもいいけど結局あの人たちは誰なのか。解らないまま俺はその場を放置して教室を後にした。

2011.09.08
補足*
主人公の友人(腐男子)→一刻悠斗(いっときゆうと)


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