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濃色

2023/02/03
落ち着いた色が好きなのだと、彼は言った。

濃色

「こきいろ?」
「そう。色と言えば紫時代に出来た、色の名前」
「へぇえ」

よくもまあ、そんな事を知っているものだと思いながら。
彼の話を聞く。
否定などするはずもなく、ただ、心地よい彼の声を聴いていたかった。

「いつか、見に行こうか」
「………、」

遠くを見ながらそう言われて、これは、よくないと、直感でそんな事を思った。

「…いいよ。みにいかない。見に行きたくなったら、僕から言う」

それにきっと、それよりももっと、綺麗な色を見る事が出来ると思う。
どうにかこうにか、言い切った言葉を聞いて、彼は笑って、そうだねと頷いた。




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