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飛び降りたら?

2012/05/28
屋上男と転入生

「多分君が飛び降りたところで誰も悲しまないだろうね。悲しむのは君がこの学園の外に、残してきた人たちだけ。もしかしたらその人たちですら、嬉しがっているかもしれない。この学園の人たちはきっと、ざまあみろ。くらいにしか思わない。君を殺したのが自分たちであることには気付けない。だって、君が最初に彼等を殺したんだから。肉体的には生きている彼等は、精神的には死んでいる。分かるだろ?君が壊したんだ。求められるだけ求めて、与えなかった。要は、壊したんだ。だから彼等はきっと、もう何も思わない。思えない。彼等の心を、確かに君は奪ってしまったから。手に入れられて良かったね。愛されたくて求められたくて、仕方なかったんだろ?今は逆に、失ってしまったみたいだけど」壊れたレコードが何か言ってる。俺は間違っていない、間違っちゃいなかった。ただ『普通』を教えてやろうと思っただけだった。『友達』になってやっただけだった。なのに、なのにどうして、なんでこんなことになっているのか分からない。学校に行けば無視された。下駄箱にも机にも、ロッカーにも悪戯をされ、誰も、俺の事を見なくなった。分からなくて疲れて屋上に来て死のうかなぁ、なんてぼやいたら、タバコを吹かしながら男が言った。飛び降りたところで誰も悲しんでくれないことくらい、さすがの俺にも分かってる。いつものように口を挟むことも出来ずに、俺はただ、男を見つめた。「どうしたの?飛び降りるんじゃねーの?証人になってやるよ?俺。君はこの学園に殺された。そう、証言してあげてもいいかも」そんなの要らない。だけど俺は飛び降りる。あれ?そう言えばコイツ、どっかで。
落下して、地面に叩き付けられる瞬間、男の口元が弧を描いて歪んでいた。(どうして、死んだはずなのに)俺は知らない。男が嗤って、証人も何も、死人に口なしだからそんなのにはなれねーけど。と、呟いていた事を。
(彼は確かに、俺が屋上から突き落とした事が原因で死んだ、同室者だったというのに)


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