《3人の日常》


2018February
06 Tuesday 20:13:19

◆突発SSS/鎌先


嫌な感じはしてたんだ。
店で試しに履いたときは特に何も違和感なかったから買った。
でもって、本日履いて登校したのだが。
どうも歩いてると当たってるというか窮屈というか。ちょっと痛みもあって。
我慢できないものじゃなかったから学校で確かめようと思って、いざ昇降口で足元を見ればこの通り。

「…うわぁ」

我ながらドン引いた。靴擦れってこんなに流血沙汰になるもん?
なんで今日に限って白い靴下履いてきちゃったかな。生臭い赤が映えるよ。

「何してんだ、おまえ…って足どうした?」
「あ、おはよー鎌先。今日、朝練ないの?」
「答えになってねえよ!足!足どうした!」

慌てたようすの鎌先が私の足元を指差す。そりゃそうだわな。明らかに血が出てるし。

「うーん?靴擦れ?歩いてるとき痛いなーとは思ってたんだけど、こんなになってるとは思わなんだよ」
「おまえ、神経通ってんのか」
「わお。鎌先から神経なんて言葉を聞く日が来ようとはビックリだ」
「おい失礼だろ!」

脳筋だと思ってたけど、そこまでじゃなかったんだね。
私が軽い調子で謝罪すると、じろりと半眼。そうしてると、ただのヤンキーだな。

「つか、おまえ歩けるの?」
「歩けなくはないよ。時間はかかると思うけどねー」

でも、なんだろうね。現状を把握してしまうと痛みが増してくるっていうの?
視覚から認知しちゃうと、それまで大丈夫だった気分が一気にしぼむよね。

「それじゃそうだろうな」
「ひとまず保健室行ってくる。予鈴鳴るまでに教室行けなかったら先生に言っといてくれる?」

すると鎌先は何か思い付いたのかポンと手を打った。

「俺が行きゃいいじゃねえか」
「うん?どういうこと?養護の先生連れてきてくれるってこと?」

確かにそれも一つの手だけど、先生が来るまでここに一人待機は嫌だなぁ。

「ちげーよ、逆」
「逆?」

鎌先が屈んだと思えば、ひょいっと持ち上がる私の体。

「え?」
「うし、じゃ行くかー」

のしのし私を抱えて歩き出す鎌先。
待って。ちょっと待って。なにこれ。え?ええっ?えええええっ?!

「ちょちょちょっと鎌先何してんの?!」
「あ?俺がおまえを保健室連れて行ったほうが早いだろ?」
「歩ける!歩けるから!」
「痛ぇんなら無理すんなよ」

くそ鎌先のくせに正論!

「何も抱っこしなくていいでしょ?!」
「ん?おんぶのほうがいいか?」
「そうじゃねえ!」

どうしてコイツはこういうときの女子の心情を理解しない!そもそも恥ずかしいとか無いのか!
結局、そのまま保健室まで連行され、養護教諭には生暖かい眼差しを送られ、朝からドッと疲れた…
幸いだったのが、まだ朝の早い時間で生徒がほとんどいなかったことだろうか。
しかし。
後日バレー部が私と鎌先の関係を大いに誤解した噂が広がっているということを耳にすることになる。
もう、ほんと勘弁して。


=end=

かまちはサラッと姫だっことかしそう。
全然意識しないでサラッとしそう。
ちなみに靴擦れ流血はhinoの半実話。
下校中に痛いと思ってたのですが我慢して帰宅したら白い靴下が赤になってましたww


>>hino


2018February
06 Tuesday 07:03:28

◆突発SSS/叶歌→田中byモブ視点

ファミレスにて。
かれこれ30分は携帯と睨みあっているであろうマイフレンド。うん長いね。

「叶歌」
「待って心の準備がまだ」
「うん。さっきも聞いた」

送信しようとして、うなだれる。繰り返し。エンドレス。メビウスの輪かな?
恋する乙女は大変だねぇ。

「いっそ私が送ってあげようか?その龍ちゃんに」
「だ、だめ!」

私が叶歌の携帯に手を伸ばそうとすれば勢いよく阻止される。

「じ、自分で龍ちゃんに送る、から」

最後はモゴモゴ尻込み。そんで、そんくらいで真っ赤になる彼女。ほんと可愛いなこの子。

「そ?じゃガンバレ」
「…うん」

まぁ、しばらくエンドレスだろうけど。
こんな可愛い友人に想われてる“龍ちゃん”とやらは幸福者だねぇ。
もし叶歌を泣かせたら友人代表として許さないぞ。


=end=

田中だったはずなのにアレ…これ叶歌ちゃんSSSじゃないか?と思ったけど田中SSSと言い切る。
田中パイセンと叶歌ちゃんに幸あれと願うこの友人の彼女はhinoの化身です。
叶歌ちゃん可愛い。田中さんカッコいい。末永く爆発しろー!

>>hino


2018February
05 Monday 20:54:53

◆突発SSS/研磨


部屋に入れば、研磨は器用にゲーム機を持ったままベッドに寝ていた。
画面を覗けは黒一色。どうやら電源は切ってある模様。しかしながら何故この幼なじみは寝るときまでゲーム機から手を離さないのだ。

「研磨ー、ごはんだってー」

体を揺らしてみるものの起きない。毎日ハードな部活で疲れているのはわかるけど、夕飯前に眠るのは良くない。生活リズムを崩すのは御法度だ。

「研磨ー、起ーきーてー」
「うー…」

呻き声と共に、のっそり研磨が寝返り。起きるかと思ったけど目は閉じたまま。そしてゲーム機を傷付けないよう寝返りを打ったことに少々呆れつつ感心する。
仕方ない。奥の手だ。

「研磨ー、いいかげんにしないとクロとチューさせるぞー」
「やだ」

おっと効果は抜群。

「じゃ起きようねー」
「やだ」
「駄々っ子か。よーし分かった今からクロに連絡するから」
「…わかった」

本当に嫌々ながら研磨が体を起こす。全く相変わらず寝起きは凶悪な顔ですね。

「なんでクロとチューさせようとするの…」
「研磨が起きないからでしょ。それとも研磨のお母さんのほうが良い?」
「…どっちも嫌だ」

ぶつぶつ研磨は文句を言いながら、私と一緒に食卓へ向かった。


=end=

きっとクロはノリノリでやれると思う。ぜったい全力で嫌がらせできる男だろうな!

>>hino


2018February
05 Monday 07:02:17

◆突発SSS/照島


ふと気になったこと。

「照島ってさー」
「あんだよ?」

私の前の席に座っている照島が気だるそうに振り向く。

「案外ヘタレだよね」
「はぁ?!誰がヘタレだ!ヘタレじゃねーし!」
「じゃマネージャーさんと話すとき妙にソワソワしてるのは何故だい?」

ぎくりと顔がこわばる。分かりやすいな。肯定してるようなもんだぞ?

「別にしてねー」
「してるから。マネージャーさんが行ったあと気持ち悪いくらいゴキゲンだし」
「ちげーし!」

うっわホント分かり易すぎて逆にドン引く。

「…こんだけ分かりやすいのに何もないって…マネージャーさんは本当にアンタのことなんとも思ってないんだね。気の毒に…」
「うるせー!」

ドンマイ照島。影ながら応援はしてやるぞ。


=end=

照島くんとクラスメイト。
クラスメイトさんも照島くんを何とも思ってないです。


>>hino


2018February
04 Sunday 19:29:16

◆突発SSS/渡


ひとつ深呼吸して、言った。

「渡が、好きだよ」

目が真ん丸になったあと、徐々に彼の顔は赤くなっていった。
そんな彼の顔は初めて見た。不謹慎かもしれないけど、新しい彼が知れて嬉しくなる。

ああ、好きだなって思う。

がんばり屋で、優しい彼が好きだ。
本当は負けず嫌いの彼が好きだ。

好きだ。本当に渡のことが好きだ。じんわり広がるこの「好き」って気持ちは快い。
でも同じくらい苦しくもなるんだ。

「あ、俺…」

困ってる。きっと私を傷つけないような言葉を必死で探してるんだろう。
そりゃそうだよね。いきなり言われても困るよね。

「ごめんね。渡に迷惑かけるのは分かってたんだけど、伝えたかったの。この話はこれで終わり。忘れてね」

ちゃんと私は笑えているだろうか。いつもの私になっているだろうか。
真面目な渡が忘れるわけないのに、我ながらひどいこと言えたものだ。

「…忘れられないよ」

悲しそうに歪んだ顔が私の心を刺す。
耐えろ。私が傷ついてどうする。

「渡」

渡が一歩近付く。私は動けない。

「嬉しかったのに、忘れろなんて言わないでほしいよ」

また一歩縮まる距離。

「わたり」

もう彼しか映らないくらい近距離。

「俺も、好きだよ」

私の両目から溢れた涙は彼の「好き」と、同じくらい温かかった。


=end=

湖ちゃんから熱烈な渡コールを受けて書いてみた!
さて次は誰になることやら!




>>hino


2018February
03 Saturday 12:24:35

2018年です。
リアタイ全く書いてなくてびっくりです。
これの前が九月って…いやいや放置し過ぎですね!
ツイッターじゃなくて、こっちに小ネタを上げるべきなのか迷い始めるhinoです。
しかしながらリアタイに書くほどの文章量じゃないのですよマジで。
でも鬼の子シリーズは移動しても良いかな…
完全に俺得やから。

>>hino


2017September
19 Tuesday 21:22:09

※西谷くんと隣の席


「俺には分からないことがある」

昼休み。
一緒に弁当を食べる友達のところへ向かうべく立ったときだった。
西谷が眉間にシワを寄せ仁王立ちでその道をふさぐ。
邪魔なんだけど。
早くマイフレンドのところに行きたいんだけど。
口には出さないが、表情に出ていたのだろう。
西谷の眉間のシワが深くなった。

「なんで俺と一緒に昼飯を食わねえんだよ!」
「おまえのほうがワケわかんねーよ」

なんで高校生にもなって男女二人で弁当を食わんといけないんだよ。
恥ずかしいとか思わないの?バカなの?あ、コイツバカだった。

「あと俺そっちのけでゲームするとか失礼だろ!」
「そうですか。すいませんね。どいてください。友達待ってるんで」
「そうじゃねえ!」

うるさい。ほんとコイツうるさい。
今自分の表情がどうなってるのか鏡を見なくても分かる。
それに対して西谷は納得できない!と言わんばかりの顔。

「なんで俺だけには反応薄い!他人行儀!目を合わせない!俺はおまえとシンコウを深めたいのに!」

その塩対応の人間に構うおまえが謎だわ。
うんざりしながら、ため息。

「むしろ、なんで私と親交深めたいわけ?」

西谷は真ん丸な目を更に大きくして、何故か胸を張る。

「俺、西谷。おまえ、嶋谷」
「それが?」
「同じ谷が付く者同士で仲良くしようぜ!」

頭が痛くなった。
とりあえず「あっそ」で流せば、もちろん西谷は不満そう。
今日は俺と食べろだのなんだの押し問答してるときに偶然通りかかった縁下くんが来て助けてくれた。
縁下くんマジいいひと。


=end=

嶋谷さん。
西谷にだけ塩辛対応なゲーマー娘。
苦手科目は頑張って起きてる。

>>hino


2017September
12 Tuesday 07:27:18

※田中パイセンとクラスメイト


さて、今日の昼は何にしようかな。
陳列されたオニギリやパンを見ながら私は思案する。

そこで目に入ってきたのはメロンパン。
あ、これ確か期間限定で出てるヤツなんだっけ?
残りひとつ。取らないわけには行かんでしょう。
スッと包装を掴んだ。
だがしかし。

「……」
「……」

同じく手を出したものが一人いた。

「私の方が早かったと思うんだけど?」
「いや、俺だ」

互いにパンを潰さない程度に力を込める。

「田中よ。私は今日メロンパンが食べたい気分なんだよ。いいから手を放せ」
「桜井よ。俺は期間限定メロンパンを朝から狙っていたんだ。ここで放せば男がすたるってもんだ。おまえこそ手を放せ」

ほう。
よろしいならば戦争だ。

「レディファーストって言葉知らないの?そんなんだからモテないんだよ」
「安心しろ。おまえを女子と認めてないからレディには値しねえ!」
「女だっつーの!」

ぎゃいぎゃい騒いでいる内に背の高い眼鏡の一年が最後のメロンパンを買っていた。
……ということに気付いたのは、たまたま通りかかった澤村先輩に怒られたあとだった。


=end=

桜井さん。
わりとノリのいい女の子。
苦手科目は最初から寝てる。

>>hino


2017September
11 Monday 06:56:18

※田中先輩とクラスメイト女子


「すまーん!」

おはようと挨拶する前に床に額が付くんじゃないかと思う勢いで頭を下げられた。

「え?田中?何?なんで謝ってんの?」
「貸してくださったノートにソースこぼしました」
「……」

おい。人が貸したもん汚すなよ。
貢ぎ物のように返されたノートを開けば、まあ分かりやすい香りと染み。
一応、文字は読める。だが、このソースの匂いと色は取れないことは確実だろう。

「気を付けてはいたんだ…ただ、つい、うっかりと…ほんとすまん…」

心底申し訳なさそうに謝る田中に私は苦笑しか出来なかった。

「もういいよ。一応、字は読めるし、提出するやつじゃないし。やっちまったもんは、しょーがないし」
「おまえ…菩薩か!観音様か!」

私へ田中はまさしく参拝のように手を合わせた。
私はそれを見て破顔し一言。

「でも次やったら二度と見せないからな」

仏の顔も三度まで。なんて言うけれど。
残念ながら私はそこまで広い心は持ってない。
田中の返事はもちろん「ハイ」でした。

=end=


ツイッターに上げられない長さの小ネタを上げました。
こういうヤマもオチもない話を書くことが好きなhinoです。

>>hino


2017August
20 Sunday 22:51:10

久しぶりに短編書いて気付いたけど、試練を課さないと全然書けない。今回もめっちゃギリギリだし長すぎて打ち切りみたいになってるけど!

しかし歳には勝てないな。

>>梓




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