《3人の日常》


2019December
31 Tuesday 15:29:04

意味なしオチ無しな茂庭さんと彼女の小話


移動中「あ」と小さく漏れた声に振り向けば、彼女が手を耳の近くに当てていた。

「どうした?」
「切れちゃったみたい…」

いつも結んでいる箇所がほどけている。下に視線を向けると、ぷつりと切れた髪ゴムが落ちていた。彼女が拾い上げて、ひとつ嘆息。

「これ、気に入ってたのになぁ…」

しゅんと眉をハの字にして、お気に入りをポケットにしまう。きっと獣耳がついていたら垂れていることだろう。

「茂庭ちょっと待ってくれる?すぐ結び直すから」

手首に付けていたらしい予備を外して、彼女が手ぐしで纏め始める。しかし持っていた荷物でバランスが取りにくいらしく、なかなか綺麗にいかない。下に置けば良いと思うが、汚したくないためかそうしない。

「…嫌じゃなかったら俺がやるぞ。ゴム貸して」
「え、出来るの?」
「失敬な。そこまで俺は不器用じゃねえよ」

彼女からゴムを受け取り、さすがに自分とは違う女の子の髪質に内心驚く。女の子は柔らかいもんだなぁ。

「茂庭、手慣れてる感じするね?」
「そうか?」
「なんかお母さんにやってもらってるみたい」
「なんでだよ」

さすがに同い年の娘がいるとか嫌だっての。

「ソーイングセットとか持ち歩いてるし、神様は茂庭の性別を間違えたんじゃない?」
「真顔やめろ」

終わった合図に軽く頭をはたいて、再び歩き出す。彼女も、あとに続く。

「茂庭が女の子だったら、いいお嫁さんになりそう」
「いつまで続くんだ、それ。ならないからな」

呆れて返せば、彼女はニコニコ笑う。

「でも、きっと茂庭が女の子でも頼れる主将には違いないね!」

邪気のない、悪意のない、彼女の本心ということが分かってしまって、言葉に詰まる。
俺は自分の頭をガシガシ掻きながら「全く調子いい…」とに言うしかなかった。


=end=

お久しぶりです。勝手して申し訳ありませんでした。
年末全く関係ないですが茂庭さんのお話。
これからもチマチマ出来たらと思います。
よいお年を。

>>突発SSS


2018June
17 Sunday 12:13:31

※擦れ違いカップル花巻と彼女の話。


二年目の秋だった。一度目の文章は「俺、進路のこと、ちゃんと考えたい。そんで、今の俺にとってネックになってんのは、おまえなんだ。俺と別れてほしい」だった。
まさしく青天の霹靂で、涙が止まらなかった。別れたくなかった。でも、相手に気持ちが無いなら、一緒に居る理由はない。付き合えないって言っている人にすがるのは互いに駄目になる。私は「わかった。今までありがとう」と返した。その数日後に最後のデートをした。そう。最後になるはずだったデートだった。でも彼からまさかの前言撤回をされてしまった。要約且つ一言いえばドッキリをされた。自分のことを試されたのだと今にしてならば呆れる。
それから月日が流れて、特に何事もなく続いた。
変化といえば、私は進学して、彼は就職した。

たぶん、ここから、いわゆる擦れ違いがはじまっていたんだろう。

そして、五年目の夏。
「もうおまえと付き合うの無理だわ。別れよう」返ってきたラインの返事に割りと冷静でいられたのは、これが二度目だったから。

「わかった別れようバイバイ!」

私は明るい文を返したあと彼のIDを削除した。なんで同じ人間に二回もフラれてんだろう私。あーあ。こんなことなら許さなきゃ良かった。本当に。なんなの。馬鹿野郎。結局あれか。私なら重くなくて、面倒くさくなくて、都合の良い楽な女ってわけだったってこと?
頑張って取り繕って平気なふりして、本当は不安で不安でさみしくて仕方なかったのに、私はどこまでも良い子でいなきゃいけなかったんだろう。デートのときに遅刻した回数だって向こうが多いくせに。甘えていいよって行ったくせに。何も私に話してくれなかったくせに。離したくないって言ったくせに。
勇気を出して「会いたい」って送った返事は「お互い忙しいじゃん我慢しよ?」だ。我慢って何。一か月以上会えてなくてラインも既読スルーばっかりで我慢も何もないじゃない。私がまだ学生で君が社会人だから?急速に冷えていった頭の中は怒りと裏切られた気持ちでいっぱいになった。不安で仕方なかった。なのにこの仕打ちか?
ふざけるなよ。ふざけんなよ。ふざけんじゃねぇよ!
泣くつもりなんて無かったのに、ぼろっと液晶画面に雫が落ちた。

好きだった。
ほんとに好きだった。

ずっと愛し愛されているのだと思っていた。


ああ、なんて私は馬鹿なんだろう。

そして、連絡先にある花巻貴大の名前を削除した。

end

ひと休みに花巻の失恋小話。
最低野郎にしてごめんねマッキー!

>>hino/突発SSS


2018June
15 Friday 18:22:30

今日は久々に会合だぜ!
じっくり話せたら良いが多分みんな翌日お仕事なのでサクッと行きたいね!

>>hino


2018May
30 Wednesday 20:28:04

◆茂庭
※あんまり生かし切れてないがパラレルです


おはよう。気分はどうかな?うん。大丈夫そうだね。ここ?ここは俺の家だよ。ああ、自己紹介がまだだったね。俺は茂庭。お前を作った人間だよ。
そう。作ったの。正確にいえば、造りかえたのほうが正しいかもしれないけど。お前は限りなく人間に近いけど人間じゃない。うん、じゃあ何?って話だよな。
簡単に言えば、ロボット。機械だよ。でも、人と同じように過ごせるよ。ごはん食べられるし、お茶飲めるし。強いていうなら、体温が無いくらいかな。
…あれ、お前の手、俺よりあったかいか?…そっか。俺よりあったかいんだね。
ううん、変じゃない。お前は全然、変じゃないよ。なんで、笑ってるかって?嬉しいからだよ。うん、嬉しいよ。温かい優しい手だ。
よく分からない?いいよ、それで。これから、お前はいろんなこと知っていくからさ。

これから、よろしくね。

=end=

茂庭博士とアンドロイド娘。
ニア聴いたときに思い浮かんだもの。
…そして、やっぱりこの書き方むすかしい…

>>hino/突発SSS


2018May
11 Friday 08:00:30

◆及川
※パラレル
※若干エグい?


はーい、みんな大好きカリスマスパイ及川さんですよー。
まだ生きてたんだねぇ。あれだけの拷問受けて意識を保ってられるね。もうゴキブリレベルじゃない?素直に称賛してあげるよ。
素直に君が持ってる情報を言ってくれたら、こっちもこんな面倒くさいことしないで済んだのに強情だよね。
いい加減、情報を話す気にはならない?こんな痛いのは嫌でしょ?…ふーん、そう。君は相当なドエムなのかな?もっと痛い目に合わないと無理ってことかなぁ。いやいや困った困った。及川さん困っちゃうよ。
君は貴重な人質でもあるから、四肢のある状態っていうのが上からの指示なんだよね。つまり手足は切り落とせないし、両目は潰せないし、舌も引っこ抜けないってわけ。
おかげで可愛い顔と綺麗な体ら生傷だらけのボロボロだ。お嫁にいけないね。あ、もらってくれる相手も同じにしたらプラマイかな?
睨まないでよ、怖いなぁ。
で、そこで及川さん思い付きました。
どうせなら実験しちゃおうかなってね。
何言ってんだコイツって顔してるね。君、意外と表情豊かね。大丈夫。ちょっとチクッとするだけ。あー、暴れないの。毒ではないから。
…はい、注射完了。何打ったか気になる?気になるよねー?即効性だからすぐ効き始めるよ。
さーて、どれにしよう?何って?君で遊ぶ玩具を選んでるの。うーん、でも最初は素手のほうが良いのかな?
あ、その目。嫌いだなぁ。そんな目したら駄目だよ。
…あはは!すごいね!軽く叩いただけなのに絶叫じゃん!劈く悲鳴ってこういう感じなんだね!いくら拷問受けても何も言わなかったのに!え、泣いてるの?泣き顔可愛い。いいね、ゾクゾクする。
何したか?良くあるやつだよ。痛覚を異常なまでに活性化させるクスリ。一時的なものだから長くはないけど、すごいねぇ。大成功?
…初めて恐怖をにじませた顔もいいねぇ。やばいよ。君、そういう顔すごくいいね。たまらないよ。うん。続けようか。
さあて、あと何回、君は耐えられるかな?


=end=

ドエスな及川ってなんだろう…そして何故こうなってしまうのだろう。

>>hino/突発SSS


2018April
26 Thursday 19:31:15

◆ふくろうにっき。小ネタ

※小見くんと猿杙くんと姫芒さん

昼休み。
うっかり寝てしまいそうになるのを堪えて、文字を書き写す。
見本になってるノートの字列は丸っこいけど、読みやすくて分かりやすい。
所々、教科書には載ってないことも端っこに小さくメモしてあってただただ感心だ。

ほんと、すげーなぁ。こんなノートの書き方、俺には到底ムリだ。

最後の一行を写し終えてシャーペンを持つ手でガッツポーズ。持ち主のところへ返しに行く。

「わりー、助かったわー」
「おー、小見やん終わったの?おめでとー」

俺に気付いた猿がヒラヒラ手を振った。そのうしろでヒョコッと顔を出す猿の隣の席。

「ほんと助かったわ、姫芒」
「いいえー、お安い御用だよ」

俺からノートを手渡すと、姫芒は笑って受け取った。

「すっかり小見やんも姫芒さんにお世話になってるねぇ」
「だよなぁ」
「いいよ、気にしないで。困ったときはお互い様だし、持ちつ持たれつだよ」

いい奴。まじで。
猿の隣の席にならなかったら、ほとんど話すことなかったクラスメイト。
猿から「授業で分からないこと良く教えて貰ってるんだぁ」と聞いてたので、ガリ勉女子くらいの認識だった。
しかし、いざ(もちろん初めは猿を通してだけど)話をするようになったらフツーに良い奴だった。
今じゃノートを借りられる程度の仲になっている。

「じゃ、俺ら二人のお礼ってことで今度何かおごらせて?」
「お、賛成。高いのは勘弁だけど」
「ええー?」

ただ良い奴には変わりないのだが。

「ほんと、いいよ。二人の気持ちだけでヒメノギ十分だし」

何故か一人称が自分の苗字なんだよな、こいつ。これを除けば、ただ勉強できる良い奴なんだけど。

「別に遠慮しなくていいのにー」
「そうそう」
「ありがと。じゃヒメノギが困ったときによろしくね」

俺は猿と顔を見合わせる。

「そんなのあるか?」
「少なくとも勉強じゃ俺らの出番ないしねぇ」
「いや、ほんとにヒメノギ気にしてないからね!」

とりあえず、今度女子の好きそうな菓子でも献上するかと猿と二人で話し合った。


=end=

姫芒さん。
猿杙の隣の席の女の子。
小見やん・猿と気さくに話せる程度に仲良くなった。

ひたすら二組は平和。ほんと平和。


>>hino/突発SSS


2018April
19 Thursday 20:51:33

◆突発SSS/縁下

※パラレル注意


おはよう。良く眠れた?朝ごはん、ちょうど今できたところだよ。…やだな、そんなに謝らなくていいよ。たまの休みなんだから、ゆっくり寝てたいだろ?それと「力様」っていうのはやめろって。夫婦なんだからさ。

…本当に俺のお嫁さんは真面目だなぁ。気にしないでいいのに。俺が好きで言ってるんだから、負い目なんか感じなくていいんだよ。

…ほんっとお前って…いや、なんでもない。ひとりごと。気にしないで?それより、ほら、ごはん冷めないうちに食べようか。

おいしい?それは良かった。作った甲斐あった。嬉しいよ。…俺はお前のごはんのほうがうまいと思うよ。うん。ほんとだって。だってさ、お前が作ったごはんがまずいわけないだろ?いつも幸せだなって思う。
…照れることないのに。うん。これからもおいしいごはん食べさせてください。約束。

…本当に、幸せだなって思うよ。華族の家に生まれて、何不自由なく過ごしてきた。…ううん、不満があったわけじゃない。学生生活は楽しかったし、気の合う仲間とも会えた。けど、自分の将来は決まっていたから。正直、これから生きていく先に何も無かったんだよ。

だけど、お前と一緒になって、自分の道に花が咲いていったみたいに鮮やかになった。

いつも感謝してる。ありがとう。そんなわけで、今日はお前を目一杯甘やかすからよろしくね。


=end=

華族の跡継ぎ、縁下。
挑戦してみたかった書き方でやったけど難しい…
あと全然縁下さんっぽくない…
さ、次は誰にしようかな!


>>hino


2018April
13 Friday 20:04:13

◆ふくろうにっき。小ネタ

※原さんと木兎くんと白福さん


今のクラスになって初めての席替え。場所は廊下側の真ん中。大して良くも悪くもないところ。そこは問題ない。まったくもって、問題ない。
だがしかし。隣が最悪だった。

「原ー、次お前の隣のやつ当てるから起こしとけよー」

教師が黒板に教科書の問題を写しながら間延びした口調で私におっしゃりやがる。

こっちの気も知らないで、いけしゃあしゃあと…!

内心、舌打ちと溜め息をついて、私は隣人を眠りから覚めさせるべく声掛ける。

「木兎くん、起きてっ。先生、当てるって」

仮にも授業中なので大きな声は出したくない。筆箱で突いたり、軽く叩いたりするが全然起きる気配は無い。がーがーイビキすらかいている。
私も苦手科目は寝てしまうときがある。人のこと言えない。仕方ないとも思う。でも、ここまでじゃないよ!
必死で起こそうと努めても本当に全然起きない。眠り姫か。百年の呪いでもかけられてんのか。

「木兎くん起きてってば…!」
「木兎ー、問三なー」

私と先生の声が重なって、ようやく彼の目がのっそり開いた。ゆるゆる顔を上げて、にっこり笑顔の先生と見つめ合う。
数秒後。

「やべぇ今どこ?!」

喉まで出かけた「おせーよ!」の一言を鉄の理性で飲み込み私は教科書の問題を指差す。

「え、えと、答えはA?!」
「Bだ。木兎、分からなくてもいいから授業中起きてる努力はしろ?」
「スンマセン」

彼が素直に謝れば、先生は問題の解説を始める。

「原もゴメンなー」
「イエ別ニ」

私は板書しながら頭の中で「ほんとだよ!」と返していた。
だって授業のたびに隣の席という理由で彼を起こさなければならないのだ。クソ面倒くさい。毎回「なんで私がやらねばならんのだ!」と思う。
私は決して優等生じゃないので、必死でノートを取る。でも彼を起こさないいけないので、書き写す時間が減る。それで起こしている間に黒板の文字を消されてしまうこともある。
もう、やってらんないし、泣くよね!
彼と親しかったら多少手荒な方法を使ったかもしれないが、生憎そこまで仲良くない。ひとまず早く席替えが来てほしいと願う日々である。

…ほんと、早く来てほしい。

私の心の呟きと共にタイミング良く終礼の鐘が鳴った。

「じゃ今日はここまでなー。次は20ページまで進むから目を通しとけよー。それと木兎は次も当てるから」

つまり「予習しとけ」と言った先生が教室から出て行くと木兎くんが頭を抱え、クラスで仲の良い男友達に泣きついていた。
あー、うるっさい。
私は短く嘆息して教科書とノートを机にしまっているとドア付近に見知った顔。

「雪ちゃん?」
「原ちゃーん」

手を振りながら、私の席までトコトコ来たのは「雪ちゃん」こと白福雪絵ちゃん。
高校に入って出来た友達のひとりである。

「雪ちゃん、どうしたの?」
「ごめん、次の現国なんだけど、教科書忘れちゃってさー」
「おっけー、現国ね」

申し訳なさそうに手を合わせる雪ちゃんに私は机から取り出して渡した。

「ありがとう、助かるよー」
「いえいえ、どういたしまして」

あー、雪ちゃんと話してると和むなぁ。めっちゃ癒やされる。廃れていた心が凪いでいくぜ。
私が雪ちゃんのマシュマロオーラに安らいでいると、ズカズカやってくる怪獣の足音。

「あれー!白福じゃん!なんで一組いんの?」
「んー、ちょっとねー。あー、そっか。そういえば木兎も一組だったねー」
「そういえばって何!」
「木兎うるさーい」
「ひどくね?!」

木兎くんはバレー部の部長で、雪ちゃんはバレー部のマネージャー。
そう。この二人は同じ部活だ。
私は一年のときに雪ちゃんと知り合ったけど、残念ながら同じクラスにはなったことがない。
知り合った年数は同じだけど、密度は少し負けるかもしれない。
…たぶん、それも含めて木兎くんに良い印象を持ってないのだろうと思う。
クラス替えばっかりは仕方ないので、割り切っているけど。

けど、私の癒やしタイムすら邪魔するとはコイツ本当になんなんだ。

あとデカい声でしか話せないのか!雪ちゃんと同じ意見だよ!うるさいよ!ボリューム下げろ!

「原ちゃん、木兎の隣なのー?木兎うるさいでしょー?迷惑かけて、ごめんねー」
「あー、大丈夫だよ」

本当は全然大丈夫じゃないけど、そう言うしか出来ない。よけいなこと言いたくないし。

「え、なになに?白福って原のこと『原ちゃん』って呼んでんの?」
「そうだよー?」

…なんで呼び方に食い尽くんだろう。意味わからん。友達同士の呼び方なんて、なんでも良いじゃん。
…なんて幾分呆れていれば、彼は一言。

「じゃあ俺も原ちゃんって呼ぶ!」

な、ん、で、そ、う、な、る、か、なっ?!

「相変わらずの木兎節だねー」
「…あの、なんでですか木兎くん」
「だって原ちゃんのほうが仲良しな感じするじゃん!」

おい!いつ私はお前と仲良くなった?!席が隣ってだけだろ!

「木兎くん…今まで通りの呼び方でいいんですけど…」
「なんで?白福が原ちゃんなら俺も原ちゃんでいいじゃん!」

ぷちっと米神の毛細血管がキレた気がした。

「おい木兎お前いいかげんちょっと黙れ?」

思わず言ってから、きょとん顔の彼。

…しまった。やっちゃった。

やばいやばいやばい!くん付けも忘れてしまったというか言い方!心の声フツーに出してしまった!どうしよう?!

「なんか、くん付けより呼び捨てのほうがいいな!そっちのほうが原ちゃんっぽい!つーか、お前にくん付けされてるの気持ち悪かったし!」

焦る私をよそに彼はあっけらかんと笑う。
雪ちゃんは生温かい目を送る。

そして、私は悟る。

ああ、これは木兎の長短所だと。

「…木兎がごめんね、原ちゃん」
「原ちゃん?どったのー?」
「もうアンタ対して遠慮とか失礼とかそういうものは一切必要ないってことが今この瞬間に分かったわ」
「???」

首を傾げる木兎に私は嘆息。いたわるように雪ちゃんが私の肩を叩く。

「原ちゃーん?」
「木兎。これから私はアンタに対して本当に無遠慮でいくからヨロシク」
「ん?おう!よろしくー!」

絶対理解してないだろう木兎が明朗に笑う。
雪ちゃんから「本当に容赦しなくていいからねー」と許可も下りたので快諾する。

そんでもって。
授業中、居眠りをしてる木兎を文字通り叩き起こすようになったのは言うまでも無い。

=end=

原ちゃん。
木兎さんと同じクラスの女の子。
こんなことがあったので木兎さんだけには全く容赦ない。

ふくろうにっき。始動に向けてネタが思いついたらリアタイで書いていこうと決めました。
しかし長くなってしまった…



>>hino


2018April
06 Friday 19:41:10

◆突発SSS/及川

「俺は、君が好きだよ」

そう告げたとき、彼女の目から大粒の涙がこぼれた。
彼女の輪郭を伝ってボタボタ落ちる雫は床に小さく広がっていく。

「なんで、そんなこと言うの?」
「え」

震える声。止まらない涙。真っ直ぐに俺を見る彼女。

「なんで、そんなこと言うの。なんでよ。なんでよ!」

歪む。歪む。彼女の顔が悲痛に歪む。

「やっと、やっと、諦められると思ったのに、なんで!あと少しで及川くんのこと忘れられそうだったのに、なんで!なんでよ!なんで今そんなこと言うの?!」

俺は彼女に散々ひどいことをした。傷付けた。
決して許されるようなことじゃない。
でも彼女はこんな最低な俺を受け入れてくれた。

「俺は」
「いいよ!もう、いいんだよ!気にしないでって言ったじゃない!終わったことを蒸し返さないでよ!もう信じたくない!自惚れたくない!」

自分の耳を塞いで泣きじゃくる。

「お願いだから。私に負い目とか責任とか感じなくていいから。もう、いいから」
「俺はそんなつもりじゃ…」
「及川くんが無理をする必要なんかないんだよ」

…無理してる?
そんなこと誰が言った?

「俺は」
「及川くん」

彼女が深く息を吐いて、乱雑に自分の目元を拭う。
強くこすりすぎたのか、彼女の目の周りが少し赤くなった。
そして彼女はいつものように笑う。

「もう私は大丈夫だよ。もっと及川くんは自分の時間を大切にして」

痛々しく、笑う。
俺の言うことなんて一切聞いちゃいない。聞く耳を持とうともしない。

…彼女を傷付けた野郎が都合のいいことを言っているのは自覚してる。分かってる。

だけど。
彼女の意固地加減に無性に腹が立った。

「…」
「及川くん…?」

彼女を腕を引く。突然のことに彼女は何かを言いかけたが、その口を自分の口で塞いだ。
彼女の目が見開く。俺は彼女が逃げられないように両腕で押さえ込む。
彼女がきつく目を閉じたので、舌で彼女の口内を蹂躙すれば、戸惑いと動揺が息遣いで直に感じる。

甘い香りが脳を刺激する。

唇を離せば、彼女が蕩けそうなほど赤い顔をしていた。

「…俺は好きでもない子に無理してまでこんなことしないから」
「お、いかわく…」

酸素不足になっていたのか、息が荒い。

「ねえ」

唇が触れるか触れないかの距離まで近づいた。

「もう一度しようか?」


=end=

気持ちエロスを目指した及川。
これ大丈夫かな…?

>>hino


2018March
02 Friday 20:27:42

こんなに書けない自分に驚きだよ!
ツッキーこんなに書きにくかったっけ?!
ごめんツッキーまじで話が進まないよ!
あ、いっそパラレルにしたらいける…?

>>hino




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