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西標識






不明瞭な銃口/第三回公式イベント(北明司)


復旧した監視カメラが映し出す映像の殆どは研究所内の廊下である。
時間の経過とは無関係に代わり映えのしない画面に、明司は古式から受け取った資料を眺めながら思わず欠伸をする。
時たま白衣姿が画面を横切っていくが、見知った顔が殆どでなかなかお目当ての敵方には出会えない。
これじゃあ試したいものも試せないじゃないか、と眠たい眼を擦りながら明司はぼんやり考える。
あまりの退屈さに瞼を閉じそうになった瞬間、視界に何かが現れた。
画面の一ブロックに現れた人物は、若い研究員の様だ。
しかし、明司には得体の知れない異様さが見て取れた。
明司は研究員から眼を離さぬ様、画面を睨み付けながら手元の資料を乱雑に捲る。
「こいつは...」
あった。
古式の作成した資料を見ると、どうやら椿組と内通していた穏健派の一部の様だ。
余程神経質になっているのか、必要以上に周囲に気を配っている所が滑稽にすら見える。
明司はやっといい獲物が見つかった、と言わんばかりに口角を上げる。
「恨まないでねぇ、おじさんのこと」
明司はキーボードに手を伸ばし、幾つかの文章を画面に打ち込む。
変化はすぐに画面上に現れ、男が露骨に慌て始めた。
男を挟んで、廊下を塞ぐ為の防火シャッターが降りたからである。
慌てる男を尻目に、映像は突如途切れる。
凡そ三十秒後、再び映像が画面に映し出された時には、男は床に血を撒き散らして倒れていた。
男は肩で息をしているようで、出血もそこまで多くない為死ぬことはないだろう。
「まぁ、動けなくさせる分にはこれで十分かね」
どうやら明司にとってはまずまずの結果だったようだ。
一応封鎖はしとくか、とぼやいてコンピュータにコードを打ち込み、シャッターにロックを掛ける。
プログラムが作動してほっとしたのか、明司は椅子に深く腰掛ける。
ふと顔を上げると、壁際の画面に奇妙な人物が写り込んでいる。
「...ひょっとこのお面って」
ひょっとこの面を付けたその人物は、そのふざけた容姿とは裏腹に研究員達の間をすり抜け薙ぎ倒して往く。
「...追いかけるべきかね、これは」
どうしたものか、と運動神経の鈍い明司は眼を細めた。







八式シギ様宅 荒神古式さん(お名前)
そーき様宅 ロキさん/神澤狼稀さん
お借りしています。






 





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