黒尾鉄朗生誕祭2014と銘打って
Twitterで書いていた黒夜久140字SSのまとめ
TETSURO Happy Birthday!!








大学に入って早数ヶ月。同じ大学、同じ学部に進学した黒尾とは、高校時代と同じように毎日顔を合わせている。大学生になって変わったことと言えば、スケジュール帳をもつようになったことぐらいだろうか。真っ白な手帳に初めて書いた予定が彼の誕生日だったということは絶対に教えてやらない。



2014/10/21



昼休みの屋上。五分でいいから。そう言って夜久の背中にペタリとへばりついた生き物は、かれこれ十五分間も同じ体勢である。何かあったのか? と尋ねても小さく唸るだけ。ただ、普段は弱みを見せない彼が自分を頼ってくれていることに優越感を覚えずにはいられなかった。そんな高校三年の秋。



2014/10/20



夜久のも美味しそう、と呟けば、ごく自然にスプーンが差し出される。それを黒尾は満足げに口にした。美味しいと笑ったら、お前のもくれ、と言われることは計算済みだ。夜久と二人で食事をする時、黒尾はいつも彼と違うものを注文する。理由なんて明白。これは幾重にも仕掛けた罠の一つなのだ。



2014/10/19



目の前で揺れる黒髪。少し開いた唇から漏れる吐息。情事にしか見せない欲に濡れた瞳。そのひとつひとつが夜久にとっては大切なものだ。たまらなくなって名前を呼べば、至極優しい声が返ってくる。何度生まれ変わっても夜久はまた彼に恋をするだろう。それは運命であり、必然であるのだから。



2014/10/18



ここは駅前のファーストフード店。目の前の男は携帯の写真を見せながら緩む口元を隠さない。新しい彼女は目が大きくて可愛い子だった。早く別れて、俺のことを見てくれよ。とは言えず、俺は曖昧な笑みを浮かべて、ストローに口をつけると、オレンジジュースをぶくぶくと泡立てた。



2014/10/17



片耳から聞こえる聞き慣れた音楽。身体は電車の振動で僅かに揺れている。おまえが聞きたいって言うからイヤホンを片耳だけ貸してやったのに、気が付けばあいつは寝ていた。ゆらゆらと舟を漕ぐたび、肩に頭が当たる。まぁこれもいいか、と思い、夜久も黒尾の身体に寄り掛かって目を閉じた。



2014/10/16



夜久は意外と大食らいだ。今も隣にいる黒尾をよそにご機嫌な顔でおにぎりを頬張っている。夜久に構ってもらえず、暇になってしまった黒尾は、夜久の手にあるそれを一口かじってみた。そして、彼が恥ずかしそうに赤面したのを見て満足げに口端を上げた。別にこれはヤキモチじゃない。



2014/10/15



部活の帰り道。右隣では淡い色の茶髪あたまが揺れている。そんな彼の方からふわぁ〜と大きなあくびが聞こえてきて、黒尾もつられて小さくあくびをした。目ざとい彼は「あっ、うつった」なんて言って、ニシシと前歯を見せている。それを嬉しい、と一瞬でも思った自分に黒尾は驚いた。



2014/10/14



隣で課題をしている夜久の様子を見て、そろそろか? と黒尾は思った。3・2・1、と心の中でカウントを刻む。ゼロ。それと同時に放り出されるシャーペンと、飽きた! という予想通りの台詞。黒尾はやっぱりな、と少し笑う。それを怪訝そうに見つめる彼は黒尾の特技をまだ知らない。

(やっくんのことならなんでもわかっちゃう黒尾っていいなって思って)



2014/10/13



体育館のど真ん中に見える背の高い彼の後ろ姿。特徴的なトサカ頭を体育館の端から見つめながら、夜久は心の中でコッソリと呪文を説く。早くこっちを向け、と。そうすれば、唐突に振り返る身体。こちらを驚いて見つめる顔。悪戯完了、と夜久は満足げに頬を緩ませた。

(部活中でも隙あらばいちゃつこうとするから、本当に油断できませんね)



2014/10/10





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