いつもの笑顔、いつもの髪型、いつもの死覇装。ここまでは何も変わらなかった。
 
‥けど、決定的に違うところが一点。
 
 
 
 
 
あいつが、眼鏡をかけていた。
 
 
 
 
 
 
 
‐ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐
 
 
定例集会が終わり、すぐに雛森へと近づく。 
 
 
『おはよう、日番谷くん!』
 
 
いつもの元気な挨拶。‥ただし、眼鏡をかけて。
 
 
『おはよ‥つか、何だよそれ?』
 
『え、これ?‥眼鏡だよ?』
 
 
‥いや、それは見れば分かる。聞き方が悪かったか、と言い直した。
 
『雛森お前、目そんなに悪かったか‥?なんで眼鏡かけてんだよ』
 
『あれ、日番谷くん‥乱菊さんから聞いてないの?』 
 
『‥松本?』
 
知らねえよ、と呟いたと同時にふわぁ!と声が上がった。
 
『言ってないわよ〜!隊長を驚かせるんだから当然じゃない♪』
 
『ら、乱菊さぁん‥苦しいですよ〜‥』
 
 
松本が雛森に抱きついていた。‥雛森が窒息するだろ‥つーか、これみよがしにくっつくな!そう怒鳴りたいのを我慢して、一睨みする。
 
自分はあくまで幼馴染み、立場ぐらいは分かってるが‥睨むぐらいはいいだろ。
 
 
‥睨みに効果があったわけではないが、松本が力を緩めたので雛森の窒息の心配はなくなった。
 
 
『ごめんごめん、だって可愛いんだもの〜!っていうかおはよっ、雛森♪』
 
『おはようございます、乱菊さん!』
 
にこにこと笑い合いじゃれあった後、松本が胸元から数枚の紙を取り出し(どうやって入れてたんだ)俺に説明を始めた。
 
『これ、女性死神協会の新しい企画なんですよ!名付けて、〈副隊長☆イメチェン計画〉!!‥第一弾は、☆自隊の隊長に近づいちゃお☆です!』
 
 
‥‥‥。
また阿呆らしい企画を‥。つーか、無駄に☆が多いだろ。思わず、ため息をつく。
 
 
『また、日番谷くんってば‥今、阿呆らしいって思ったでしょ?』
 
心の中をあっさり読まれた。‥確かに分かりやすかったとは思うが。
 
『で、どうです?雛森に眼鏡、どう思いました!?』
 
松本が興味津々といった感じできいてくる。
確かに眼鏡をかけた雛森も可愛い。文句なく可愛い。
‥‥だけど。
 
幸い(?)黒ぶちではないものの、雛森の顔を彩る赤ぶち。眼鏡に合わせたらしい頭の赤いリボンがまたそれを強調する。
 
 
‥ムカつく程に眼鏡と笑顔の似合う雛森の上司の顔が浮かぶ。まるで雛森は自分のものと言っているかのようだ。
 


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