(ねぇ“ひつがや”!あたしね、ひつがやがだーいすきっ!)
 
 
(‥あ、ありがとうございます。桃様‥)
 
 
 
 
 
 
まだ16歳ほどの無邪気なお嬢様と。
こちらもまだ19歳ほどの、しかし銀の髪を持つ執事見習い。
 
 
代々雛森家に仕える日番谷家。
 
 
彼の父親が、現在お嬢様の執事であり‥。
 
 
執事見習い本人の現在の本職は、大学生兼、実質お嬢様の家庭教師‥である。
 
 
 
 
 
『お嬢様‥起きてください!お嬢様!』
 
 
『‥シ、ロちゃ‥?』
 
 
 
広い屋敷の日当たりの良い部屋。桃色基調の可愛らしいそこには花の香りが漂い、女の子らしい雰囲気を醸し出す。
 
 
その一角に設置されている柔らかなベッドの上に、お姫様‥いや、お嬢様が一人寝転がっている。
 
“雛森桃”‥執事見習いである日番谷冬獅郎が、将来仕えるべき人間。
小さな頃から幼馴染みとして、日番谷が中学に入ってから家庭教師として接してきた女の子。
 
 
『‥もう、授業の時間なんですよ。桃様、学校から帰ってきてからずっと寝ていらっしゃったので‥。』
 
 
全く‥と口調だけは丁寧に、桃の頭をこづく日番谷。
 
 
『‥それに、寝ぼけてるふりも無駄です。
‥‥起きてるだろ?』
 
コロリと一転、口調が変わる。
 
 
『‥だってシロちゃん、敬語だったんだもん』
 
 
桃もえいっと体を起こして、気に入らなさそうに日番谷の服を引っ張った。
 
 
 

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