甘い香りがほんのり漂う。
 
 
‥珍しいものが目の前に置かれて。
 
 
なあに、これ?と首を傾けてみた。
 
 
 
 
 
〜当たりつきのお菓子と。〜
 
 
 
 
 
『昨日、松本が現世に任務行ってただろ?‥そん時に、お前への土産に‥って買ってきたんだと』
 
 
あの野郎、ぜってえ隊費から出しやがった‥なんて眉間に皺寄せてるけど、それでも乱菊さんを許してくれるのは、あたしの為のお土産だからだろう。
 
 
それは自意識過剰‥ってことではなくて。単純に、日番谷くんがあたしに甘いことを自覚しているからだ。
 
 
 
‥昔は全然気づけなかったこと。今は気づけたこと。
‥それは、いっぱいある。
 
“甘やかされてる自覚”もそのひとつ。
 
 
 
‥でも知ってますか、日番谷くん?甘やかし教育は、子供によくないんだよ?(あたしは、子供じゃないけれど。)
 
お土産代も、あとでちゃんと立て替えておくんだから、ね。
 
 
 
 
 
 
‥そして話は冒頭に戻って。
 
 
『これ‥中身は何なの?』
 
 
香りからして、甘いものであるのは間違いなさそうだけど。
 
どうも、あんこの甘さではない感じだ。
 
 
『‥“ちょこれーと”だとよ。2月辺りになると、瀞霊廷内でもけっこう売れてるだろ』
 
 
『えっ!チョコレート?‥そういえば前に、乱菊さんが買ってきてくれるって言ってたような‥』
 
 
なるほど、この甘い香りはチョコレートだったんだ。
‥でも‥それにしても、この箱はちょっと大きすぎるんじゃないだろうか?
 
 
『‥“当たりつき”なんだと。』
 
 
 
『え?』
 
 
日番谷くんは箱を指差して言った。
 
 
『大人数用のやつらしくてな‥。そんなかに一個だけ、あたりが入ってるそうだ』
 
 
なるほど、そうかぁ‥。皆で食べて楽しむものなのね?
 
 
『大人数用のなの?‥だったら、皆を呼んでこよう?』
 
 
乱菊さんも、それを狙ってこのチョコレートを買ってきてくれたんだろう。
 
 
 
 
 
でも。
 
 
 
『‥ちょっと待てよ‥』
 
 
ぎゅっと腕を握られて。一瞬、ドキッとしてしまった。
 
 
 

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