04

「藍、放課後時間あるか?」
『うん。』
「…部活いくまでのちょっとの間話したい事があるんだよぃ。」
『分かった、教室に残ってるから。』

今日は24日、本当は休みなのだが立海大付属校はなんと全員参加の補習があった。そのため女子は朝から嘆いている、別にイヴなんだからいいじゃないか。机に頬杖をついて溜め息をつきながら見ていたらブン太に話しかけられたのが先ほどの話だ。

『話、か…。』

もしお前のせいであの子が勘違いしてフラれたなんて言われたらどうしよう。…それはないと思うがないとも言い切れない。隣りの仁王くんの席に群がる女子の声が甲高くて耳に響いていい迷惑だ。


「神崎ちゃん、明日何の日か知っとるな?」
『ちょ、仁王くんいきなり話しかけて来ないでよ!』
「プリッ」

仁王くんの周りにさっきまで群がってた女子は消えてしまっている。仁王くんの姿が見えないほどいたのに。まっすぐ私を見つめるその目は真剣なようで笑っているような。これだから何考えてるか分らない。

『…クリスマスでしょ?』
「ぴんぽーん、大抵の男女は明日のクリスマスを恋人と過ごすために今日意中の相手に告白するんじゃなか?…ということは。」
『ということは…?』
「ブンちゃんは神崎ちゃんに…。」
『私に?』

「より戻そうってまた告白するかものぅ。」

ニヤニヤと面白そうに笑う。ブン太に告白される、か…。嬉しい?そりゃあ嬉しい。

「それにしても神崎ちゃんも魔性の女じゃ、幸村と明日デートと聞いとるぜよ。」
『デート!?』
「じゃって男女で一緒に出かけるってデートじゃろ。」

付き合ってないのにデートって…、変じゃない?一応私たちは一緒に出掛けるだけ!…って言い方を変えれば仁王くんが言うとおりデートだ。

幸村くんと、デート。今までただ出掛けるとしか認識していなかったから妙に意識して緊張してしまう。幸村くんはどう思っているんだろう、クリスマスなんかに私とデートしてていいのかな、幸村くんを好きな可愛い子はたくさんいるのに。










授業が終わった。みんな帰宅したり部活に行ったりする中私は教室の窓からテニスコートを眺めている。

『あ、幸村くん真田くんと試合してるや。』

真田くんの…、何あれ稲妻?を楽々返す幸村くんはやっぱり部長で、それなりの実力があるんだ。

『カッコいいなぁ。』
「…藍、いいか?」
『ごめん、いいよ。』

ブン太が来たのにも気付かなかったぐらい私は彼のテニスに魅入っていたらしい。ユニフォームを来たブン太は走って来たのか息があがっていてそれに気付かないなんて少し申し訳なかった。

「あのさ、俺…。色々考えたんだ、考えてさ、俺馬鹿だったなぁって。」
『?』
「失って初めて気付いたんだよ、藍が大切だって。あいつにも言われた、重ねて見てるって。虫がいいかもしれねぇ、…より戻さねぇ?」


仁王くん、ビンゴだよ。なんで当たってしまうの。嬉しいはずなのに…、おかしいなぁ、なんでいざ言われると嬉しくないの…?頭に浮かぶのは別のヒト。

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