お題感謝:休憩
百合、薔薇、ノーマルを詰め合わせてます。

わたしのからだはあまさひかえめ
女の子って甘ったるいから、苦手なんだよなぁ。なんて彼はため息を吐いた。声とか、仕草とか。と付け加えながら。
その点お前は女の子らしくないから良いよなぁ。なんて彼は私の頭を撫でた。楽だよ、良い意味で。と笑いながら。
そうです。私ってば全然女の子らしくないし色気もへったくれもないんです。
唯一の甘ったるさと言えば、あなたへの好意とそれ故にそれを隠す行為。
私、ずっとこのままでいるから、どうか嫌わないでね。
2013/12/29 04:45

キスをするならいまのうち
それは、あってはならない恋だった。彼女は私を好きになって、私も彼女を好きになってしまった。

「お姉ちゃん、好きよ。とっても。」

涙をぼろぼろと零しながらみっともない告白をすると、お姉ちゃんは目をつぶり、暗いから、きっと誰からも見えないよ。と言った。
キスをするならいまのうち。だけど、
どうせならもっと堂々としたかった。
2013/12/23 06:46

ああしゅわしゅわと
そうなんです。どうせ私なんか、
と嗚咽まじりに吐き出された彼女の本音に僕は眉をひそめた。またか。
私なんか、本当に平々凡々のつまらない奴でしてね。あなた様に構ってもらえるような奴じゃあないんですよ。
ひぐひぐと泣く彼女に、それでもお前が好きだよと僕も泣きそうな声で言った。なぜこんなに一緒にいるのに、分かってもらえない。
2013/12/23 06:39

くもりのちくもり
今日も私はあの子が嫌いでした。
今日も私はあの人が好きでした。
代わり映えのしない毎日だけど、それでいい。
明日もあの子に嫌いと言わないだろうし、明日もあの人に好きと言わない。
はっきりしない毎日だけど、それでいい。
2013/12/23 06:34

海に背を向けきみは
君とさよならする日は、夕日が綺麗でどうしようもなく涙が滲んだ。
オレンジに光る水面が騒めいて、彼女との別れを惜しむようだった。この海は、この町は、この私は、
全部君のものだったのに。

それでも君は私たちに別れを告げる。
さよなら。都会でも、お元気で。
2013/12/23 06:29

彼のくちづけを知らない
私のすぐ横で絶望しきった表情を浮かべた彼の目には、やはりと言うべきか涙が溢れていた。

「僕が誰か分からないと、記憶喪失ということですか?」

自称私の恋人の彼ははらはらと涙をこぼしながら医者に聞く。医者は頷いた。あぁ!と小さく悲鳴を上げて膝から崩れ落ちる。
ここまで泣かれてはさすがに申し訳ない気もする。でも本当に思い出せないの。脳の奥でなにかがつっかえているのは自分でも分かっているのよ?
2013/03/16 18:16

白にふさわしいひと
「そういうんじゃ、ないんだ。本当に。」

期待させてしまったならすまない。
顔に暗いかげがかかる。太陽が雲に隠れたのだ、と私は。
誰も、愛せないんだ。すまない。
彼の泣いて謝り続ける様を見ていたら、悲しいだとか切ないだとかそういう感情は湧かなかった。
ただ、冷静に、この人は聖職者のようだ。と思った。

つまり、彼はただ、
2012/12/21 07:12

瓶詰めの花と箱詰めの蝶
どんなに愛し合っていても報われないのだと。そんなこともあるのだと知った。

「サユキさぁん、サユキさぁん。」

彼女は泣いている私の手を引き寄せ抱き締めた。こんなにも愛し合っているのに。
世間体や法律に捕われたきり、動けないや。

「サユちゃん、私の可愛い妹。愛しい子。」

独り言のような呟きをして、私の頭を撫でる。
私の大好きなお姉ちゃん。サユキさん。

2012/12/09 01:41

鉄の雨
夜、歩いていた。
今日一日を振り返りながら。
最低な一日だった、とため息をつきながら。
夜、雨が降った。
傘なんてもの持ってなくて。
ままならない、と声を上げて泣いた。
大きな雨音が私の声を遮った。

いつもより重いような雨は私の身を削いでいくようで。

2012/11/17 22:29

跳ねる星屑
死んじまえ!と吐き捨てた言葉は、ナイフのようにあの人に刺さっただろうか。
少し後悔していないこともない。
でも仕方ないとも思う。

水溜まりをおもいっきり踏ん付けると星を写した水が跳ねてやけに綺麗だった。
そういやあの人、夜空と水溜まりが好きなロマンチストだったなぁ、なんて。

2012/11/16 06:10

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