小説えーすりー | ナノ

1


「…セックス事情?」

まさかそんな話がふられるとは思わなかったよ、摂津くん。しかもわざわざカフェでコーヒー飲んでいる時にさ、こんな話していいのかな…

まぁ時間も夕方の閉店間際だし、人いないから大丈夫なんだろうけど。

「稽古中に何度か腰に気ぃつかってたのは知ってっから、左京さんが下なのは把握済み。」

「えっ、痛そうにしてる?」

「多分大丈夫なんじゃね?」

…まじか。一応終わった後は必ずマッサージしてるが、効かなかった?

「んで、なんで急にこの話になるの。」

さっきまで普通に世間話してたよね…

「あー、いや、あのオッサンを満足させてんのかなって気になっただけ。」

「満足…?」

摂津くんが気まずそうに頭をかく。そういう反応されると気になる。

「…アンタんとこから帰ってきたオッサン、いつもボーッとしてんだよ。」

「…はい?」

「新聞開いて、コーヒー片手に持ってるけど、飲んでねぇし読んでもねぇ。最悪、コーヒーこぼしてんのも気づいてなかった日もあった。」

毎回朝に帰ってそんなことしてたのか、古市さん。起きた時はいつも通りだと思ってたけど…

「あれは軽くホラーだ。一人でやってんだぜ…死んでんのかと思った。」

「重症。」

冗談抜きに本気で改善すべきことだ。mankaiカンパニーで古市さんはまとめ役的な存在だから、皆心配してるよね。

「やっぱり俺が原因かな。」

「他に誰がいんだよ!」

「すみません…」

秋組のリーダーを怒らせてしまった。

「とにかく、ヤりすぎなのか、オッサンが満足してないかどっちかじゃねーの?」

「ダメだ、俺生きていけない…」

後者だったらショックすぎて。前者も反省しないといけないやつだし。

「実際、どっちから仕掛けてんの。」

「俺っす…」

「どんな風にヤってんの。」

「俺が我慢出来なくて、激しくします…」

「それだな。」

「それっすね。」

拷問だこんなの…セクハラだ…高校生相手に何言ってんだ俺、涙出てきた。

「オッサンの頼み事とか、聞いてないのかよ。」

「…そもそも頼み事なんて古市さんの口から聞いたことない。」

「気持ちも考えてやれって。」

「…はい。」

…終わりだ。もうダメだ。

「…ま、まぁ、俺も悪かった。」

「今日、どうすればいいの…」

「いつも通りに、な!」

焦っている摂津くん、珍しい。俺の今の顔が焦らせている原因なんだろうなって思う。そろそろ古市さんから連絡くる時間じゃないか?

「はっはっは。」

「えー、さて、俺は帰る…」

立ち上がろうとした摂津くんの頭を鷲掴みする。

「ありがとうね、貴重な話を聞けたよ。」

「あ、そっすか。」

青ざめた顔で頷いている。2人分のコーヒー代が足りるくらいのお金をテーブルに置いて店を出た。

× |

戻る
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -