うさぎちゃん頑張る!

二人と別れて用事がある場所に足を進めていた。少し遅くなってしまったなぁ、なんて呑気なことを考える。

「玲吾先輩、発見です…!」

紫之くんが駆け足でこっちに近づいてくる。

あれっ、なんでここに…

「ごめんごめん、遅れた。」

「あまりに遅いので探しに来ちゃいましたよ!」

頭を撫でると嬉しそうに笑っていた。

「んじゃ、早く行かないとね。」

「…はいっ!」

に〜ちゃん達には秘密にしてるんですよ、と言う。俺は紫之くんの手を握って走る。ちらっと横目で顔を見ると目を見開いてほんのり頬が赤かった。



「失礼するぞー。」

レッスンルームの扉を開ける。

「…え?」

「あ!嵐ちゃん先輩の恋人先輩!」

「っはぁ?!」

レッスンルームにはRa*bitsが揃っていた。

「確か、貴方は…」

ベージュの色の髪の…

「君は真白友也くん、かな?」

「え、なんで…」


「ちょ、ちょっと待った!!」

皆と俺の間を割って入ってきた仁兎。焦っているようで俺をガン見している。なんか面白い。

「どうした?」




─────────
仁兎なずなside




「どうしたじゃない…」

ちらっと玲吾の左手を盗み見た。塞がってる。創ちんと玲吾が手を繋いでるんだ。

創ちん、顔赤くなってるし。それに光ちんが玲吾を嵐ちんの恋人って呼ぶし。そんなわけない、はず…なんだけど…


「仁兎?」

玲吾の声にハッとして目線を上げる。俺に優しく笑いかける玲吾と目が合った。

「えっと…」

言葉が喉に引っかかるように出ない。落ち着け俺。別に羨ましいなんて思ってないよ。

「…ん。」

玲吾は塞がっていない手を俺の頭の上に置いた。そのままくしゃっと撫でる。

「え、な、なにするんら!!」

一体何を考えてんだ。俺の頭ん中見透かしてる、みたいな…

「無性に撫でたくなった。」

それを聞いて体温が急上昇した気がした。あー、もうッ!!

「っ今日は!レッスンしてくれるのか?!」

これ以上は耐え切れないと思った。

「おぉー!!」

「え、そうなんですか?」

「うん。約束だったからさ。」

「…!」

久々に見てもらう。嬉しい。本当に。前は全然ダメだったけど、今のユニットは絶対に、良いと思わせられる。




仁兎なずなside終

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