犯人は零

「…着いた。」

「やっとか。」

神崎くん追ってこなかった。アドニスくんは俺を降ろさないままガラッと扉を開ける。

「連れて来たぞ。」


「おぉ、悪いのぉ。」

「おい零。地味にケツを触るな。」

アドニスくんに降ろしてもらうように頼んだ。

「あぁ、すまん。」

「よいしょっと…」

解放された。あらゆる骨を鳴らす。今バギボギってすごい音鳴った。

「会いたかったぞ。」

零に前から抱きしめられた。

「あー…零の仕業か。」

抱きしめ返して零の髪を弄る。

「うむ。…こうでもせんと、来てくれんじゃろ?」

「んなわけねぇよ。」

「!…玲吾くん。」


「あああああ?!離れろ!!」

大神くんが雰囲気をぶち壊した。

「あー玲吾くんー…何するんじゃわんこ。」

「暑苦しいんだよ!!見ててイライラする!!」

零に突っかかって行きそうだったから頭を片手で掴んだ。

「っ?!離せおら!!」

「はいはい、落ち着け。」

「……。」

わしゃわしゃしてやると急に静かになった大神くん。

「…手懐けてるな。」

「わんこめ…」



「何してんのさっきから。…ってことで俺、帰っていい?」

「羽風。」

奥から現れたのは羽風だった。

「女の子だったら喜んで行くけど…なんで玲吾のためにわざわざ来なきゃいけないわけ?」

「知るか。俺だって何がなんだかわかってないんだよ。」

こいつは出会った頃から俺への対応が厳しい。羽風に何もした覚えないんだけど。知らず知らずの間にイラつかせてるのは確か。俺に言えばいいのに。

「はぁ…せっかくの女の子とデートの約束が…」

「なんで来たの。」

「連れて来られたんだよ!!」

またイライラしてる。俺に八つ当たりか。

「喧嘩はやめてくれんかのぉ…久々会ったんだし、仲良く…な?」

「何か企んでるみたいだけど俺帰るから。」

羽風が俺の横を通り過ぎる。

「待て。」

扉の前に立ち塞がる零。

「…っ」

急に雰囲気が変わった。羽風もそれを察知して立ち止まる。

ちと素直になれ、薫。わんこより頑固だぞ。だからお前は…」

「ッうるさい。余計なお世話だ…!」

零を退かして出て行った。

「え?あっ、ちょ!」

「はぁ…」



「どういうこと。」

俺には何の話をしているのかさっぱりわからなかった。

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