ドラマキャスト

あれから学校に行けないまま約一週間。大きなため息をついて歩いていた。

「眠っ…」

役づくり、撮影、打ち合わせが溜まって、休む暇もない。それでもやっぱり学校には行かないといけないし。

眠い目を擦りながら学校に向かう。面倒くさくて撮影後すぐに行った。だから衣装のまま制服来てない。また先生に怒られるじゃん。

…まぁ、いいか。

周りからすげぇ見られてるけど気にしない。



「佐賀美先生。」

学校に着いてすぐに保健室へ向かった。案の定椅子に座っている。

「おー。海崎。」

「お久しぶりです。」

手を少し振ると振り返してくれた。

「珍しいなここに来るなんて。どうした?」

「実は制服借りてたんだ。その時先生いなかったから勝手に取った。」

先生に制服を渡す。

「あ、下着も。新品買ってきたけど、それでいい?」

「わざわざ悪いな…」

先生は制服を受け取って俺の顔を凝視してきた。

「…?」

「…ちなみに、海崎。それメイクか?」

急に変なこと聞かれるから目を見開く。

「え?…あぁ、ついさっきまで喧嘩のシーン撮ってた。」

あー、そういうことか。メイクで怪我を再現してたんだった。

「なんだよ、焦らせんな。」

「心配かけました?すみません。」

メイクしてくれる人が気合い入れてたからなぁ。リアルすぎて撮影スタッフさんにも心配された。

「この後はどうするんだ?」

机に肘をついて俺を見る。

「この後は椚先生に課題出しに行って…そのまま帰ろうかな。」

早く寝たい。

「そうか。お前の今の役って結構ハードだからゆっくり休めよ。帰る時はメイク落としていけ。」

さすが。経験者は違うねぇ。

「了解。んじゃ、先生も健康管理きちんとしてくださいよ。」

「はいはい。」

先生に背中を向けて保健室から出て行った。



「椚先生、どこ…」

とぼとぼ一人で椚先生探しても一向に見当たらない。施設内は一周した。多分すれ違いだよな…周りに誰もいねぇし。仕方なく近くにあったベンチに座る。

みんなレッスンしてるのか。

何処かで曲が流れてる。…子守唄に聞こえてくるんだが。

そう考えるとだんだん眠くなってきた。

「…少しだけ、いいよな…」

目を閉じ、背もたれに寄りかかった。

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