「うー…柊斗…」

ベッドの中で同じ布団を被り、俺の胸に顔を押し付けるこいつ。月永レオ。恋人であり、こいつの一番の理解者…でありたい。

今、俺の名前を呼ぶ声で起きたが、レオは俺が起きたことに気がついているのかいないのか。俺の名前を甘えたように連呼する。

おはようって言いたいけど、このレオの俺を好き勝手してる姿が愛おしくて寝たフリを極める。

「柊斗…起きてる…?」

起きてない起きてない。

無心になって目を瞑っているとレオがモゾモゾと動き出した。バレないように…

ふに、っと唇に柔らかいものが当たった。

(ん…?!え?!)

それは一瞬で離れて、また顔を胸に押しつけていた。伝わる体温がさっきよりもあたたかい。

キス、してくれた。やばい嬉しい。死んでもいい。めっちゃ抱きしめたい。ひたすら我慢した。

「…好き。」

もう耐えきれなかった。レオの身体を引き寄せてもっと密着する。

見えているレオの頭のてっぺんにキスを落とした。

「俺も、レオが好きだよ。」

「…え、」

「おはよう。」

肩を震わせ、動かなくなってしまった。思いっきり抱きしめたいけど、寝起きってこんなに力入らないんだ。悔しいなぁ。

「どこから起きてた。」

「俺の名前言いまくってたところから。」

「…ほ、ほぼ最初から…」

それはドンマイとしか言いようがない。恥ずかしいのかグリグリと額を押し付けている。

「もう一回、俺にキスして。」

「やだ。」

「なんで…」

ハッキリと言われると結構傷つく。さっきの可愛さは何だったんだ。


「…今度は柊斗からする番だから。」

やっぱり可愛かった。レオは可愛い。

「うん、そうだね。」

肘をついて上体だけを起こす。こっち向いてくれないから頬をツンと人差し指でつつき、そのまま顎を上げる。

「ん…」

頬を赤く染めて目を伏せる。実はこういう触れるだけのキスに慣れていないレオ。深い方は積極性があるのに。

「今日学校行く?」

「行かない。」

ムードをぶち壊すような発言で不機嫌になってしまった。レオが学校に行くようになったからいけるかなって思ったんだけど。仕方ない、今日は俺、学校行かないといけないんだ。

「椚先生に怒られたんだよ。来いって。」

それはもうぐちぐちと。怖かった怖かった。

「…柊斗のこと何も知らないくせに。」

「…うん。」

「だから行かなくていい!」

「大丈夫だよ。」

上半身を起こしレオの頭を撫でる。

「一緒に行く?」

「行かない。」

がびーん。ま、いいけど。いつものように俺が先にベッドから降りる。俺に背を向けて枕を抱きしめていたことに不覚にも可愛いと言いそうになった。代わりに「早く帰ってくるね」と言った。







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