もし出会わなければ | ナノ
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▽ 7-2



Another side

「何か聞きたいことがあるのかな?」


飲み物を用意するため、リビングを離れた昴さんのあとについて行くと博士たちが見えなくなったタイミングで昴さんが俺の方へと向き直る。


「えーっと、何のことかな?」
「彼女のことを聞きたいのかと思ったが違ったか?」

沖矢昴としての口調が崩れ、赤井さんの影が覗く。


「・・・なんのこと?今日はあいつらが昴さんにお願いがあるって言うから来たんだよ」
「ほぉー、そうだったのか」

カチャカチャとグラスを並べながらこちらに視線を向ける昴さん。


あいつらが昴さんへ頼みがあるのは嘘じゃない。

でもわざわざこんな時間からここを訪ねたのは、もしかしたら昨日の女性がここにいるかもしれないと思ったからだ。


昴さんがあんな風に気にかける女性を見たのは初めてだった。


あの女性と昴さんの様子を見る限り、ただの友人ではないように思うけれど、歩美が言っていたように恋人同士ということも状況的には考えにくい。


でも泊まってたんだよな・・・、ふと彼女の服装を思い出す。

彼女の服が昨日のままということは、恐らく家には帰っていないんだろう。


そんな俺の思考を知ってか知らずか昴さんが口を開く。


「家主の許可なしに、勝手にここに泊めてしまったのは申し訳なかった」
「・・・っ?ど、どうして僕に謝るの?」
「ああ、そうだったな。また家主の彼に伝えておいてくれ」
「うん、わかった。伝えておくね」


結局聞きたかったことは聞けないまま、オレンジジュースを手に俺達はみんなの待つリビングへと戻った。

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