You don't know me | ナノ
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▽ Which are you?



「ジンとはどういう関係なんですか?」


久しぶりの再会。
私があの時の少女だと気付かない彼は、怪訝な表情を隠そうともせずそう尋ねた。


私を見るその瞳はとても鋭く、あの頃のような優しさは感じることができない。


なんでこんなに胸が痛むの・・・・・・。


こんな視線を向けられることは初めてじゃない。

もう慣れたと思っていたのに・・・・・・。




この家に来た最初の数日間は、私の口からジンのことを聞き出そうとしていた彼だったけれど、一向に話すことのない私を見て諦めたようだ。


いつも彼がこの家に帰ってくるのは、日が沈みきった頃。


「ナマエさん、もう夕食は食べましたか?」

いつものように窓際に置かれたソファで本を読んでいると、彼が私に尋ねた。


私のことなんてほっておいてくれればいいのに・・・・・・。

自炊をするなんて習慣のない私は、いつもお菓子やインスタント食品で食事を済ませていた。

そんな生活力のない私を見かねた彼が夕食を作り始める。


「・・・・・・お人好し」


聞こえないように小さくつぶやくと、私は彼のいるキッチンへと向かった。





誰かが作ってくれたものを食べるなんて久しぶりだった。

まして一緒にキッチンに立つなんて初めてかもしれない。


「・・・っ、美味しい!」

作ってくれてありがとう、そう言った私を見て優しく目尻を下げる彼。


無意識なんだろうか・・・・・・、最初にバーボンとして私の前に立ったときとは違う表情。


こんな表情を見たら期待してしまう・・・。

彼はあの頃のまま変わっていないんじゃないか。

やっぱりこの組織にいるのは、何か理由があるんじゃないかって・・・・・・。


ズキッと胸が痛む。


私はどうすればいいの・・・?


ジンに命令された以上は、何も掴めませんでしたなんて報告が許されるわけない。


私の言葉ひとつで彼の未来が変わってしまうかもしれない・・・・・・。


白か黒か。

私はその答えを知るのが怖かった。


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