「ひぃいいぃんっ!!」
素材集めに森へと繰り出していたパワポケ達一行。 森の深部に到着して各々錬金の素材になりそうな物を散り散りになって物色していると突然官能的な声……とはまた違う、奇声に近い女の悲鳴が響いた。 すぐに誰のものか見当がついたパワポケは急いで声の方に駆け寄る。
「ヒナっ!どうした?」 「あうぅ…服にぃ、な、何かが…。先生ぇ、取ってぇー!早く早くぅっ!」 「取るって一体どうやっ……ってオ、オイっ!!」
涙をいっぱい溜めた瞳でパワポケを見上げたヒナは、縋るように抱き着くと奇声の原因である服に侵入した異物を取り除くように急き立て、あろうことかパワポケの手を掴んで無理矢理自身の衣服の中へと導く。 あまりにも唐突で大胆過ぎるヒナの行動にパワポケはたじろぎ思わず顔を赤らめた。
「ひぇーん…先生ぇ早くぅっ、」 「早くって言われても…ここか?」
一瞬どぎまぎしたものの、あまりの不快感にパニックになりかけている彼女の助けになってやりたくて下心を捨て何とか異物を探し出そうと奮闘していると、ヒナはピクリと身体を揺らし甘い吐息を零した。
「!や、んっ…、どこ触って…、」 「わわっ!す、すまん!」 「先生がヒナさんにエロい事してるでやんす!」
いつの間にか集まった仲間達が遠巻きで様子を見ていたようで、身体をまさぐられ涙目でうっすらと頬を紅潮させるヒナの姿を見てカイダが野次を飛ばしその言葉にパワポケは一気に羞恥が込み上げ顔を真っ赤にして否定した。
「ば、馬鹿!人聞きの悪い事を言うな!」 「あ〜んっ、せんせーっ!!」
「全く…仕方がない子ですね。」 「あっ…フランシス様ぁっ、」
見兼ねたフランシスがヒナを正面から抱き寄せると何の躊躇いもなく衣服に手を入れ彼女の白くなめらかな肌に人差し指を滑らせて異物を探す。 指の感覚がくすぐったくて思わずフランシスの背中に腕をまわし歯を食いしばるも、ヒナの口からは吐息と共に堪えきれなかったくぐもった声が零れる。
「ん……あっ…、」 「これはヒルですね。ヒナ、首元まで服を捲って下さい。」
フランシスは涼しい顔で指を動かし続けると、とうとう目標に接触し的確にその正体を発いて驚きの指示を出した。
「え、えぇっ!?でも…」 「わかっています。すみませんが皆さんはあちらを向いていてもらえますか?」 「あ……ああ。」
フランシスは気をつかって男の視線をそらせたさせたつもりだったが、ヒナが一番見られたくないと思っているのはフランシスだという事に気付いていないのはきっと彼だけだろう。 この場に女はヒナしかいない為やむを得ないが結局なんの対処にもなっていない故に、ヒナは服を捲るのを渋った。 しかしフランシスは半ば無理矢理に彼女の肌をあらわにして脇腹の高い位置に吸い付いているヒルにマッチの火を近付けて噛み付きが緩んだ所でそれを引きはがした。
「もう大丈夫ですよ。傷に薬を塗っておきましたのできっとすぐに血も止まります。」 「あ、ありがとうございます…。」 「いえ。さて皆さん、もういいですよ。」
視線を戻したパワポケ達の目に映ったのは顔を真っ赤にしてヘタリと地に座り込むヒナ…と、それと対照的に相変わらず事もなげな様子なフランシス。 パワポケは最早その涼しい顔に尊敬の念を抱く程であった。
「お前…よく意識しないでいられるな。」 「あのですね、先生…弟子に欲情なんかしてどうするんですか。」 「…だが少しはアイツの気持ちも考えてやれよ。」 「フランシス様に…、見られ……で、でも私の為に……で、でもでも、私、きっと…何の魅力も…あうっ」
この後ヒナは色んな感情の波に押し潰され体調を悪くし、一行はやむを得なく素材集めを切り上げ森を後にした。
end...
主人公夢なのかフランシス夢なのか…。
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