Classical 05

 その後レイナも無事ルリナに勝利し、3番目のジムのため第二鉱山経由でエンジンシティに戻っていた。第一鉱山と違い水脈のあるここは水ポケモンも多く、レイナの手持ちであるヌオーも心なしかはしゃいでいるようだ。それに合わせてヤバチャもくるくると回る。

「あ、ビート。」
「げ。」

 そんななかばったり遭遇したのはビートだった。レイナをみるなり嫌そうな顔をするのを、ビートは隠そうともしない。

「相変わらず態度悪いなー。笑顔の一つぐらい見せたらどうなの?」
「あなたこそ、そのお節介な口を閉じたらどうなんですか。」

 ビートにとって、いつも口うるさく絡んでくるレイナはどうも苦手、むしろ嫌いな人間だった。こちらの事情も知らず、ずけずけと物を言うのは彼女も同じだろうに。

「お節介なぐらいじゃないと、口を聞いてくれないくせに。それで手に持ってるのって願い星だよね。そんなに大量に集めてどうするの?」
「ああ、これですか。委員長が大量の願い星を必要としているのでその力になろうと。」
「ふーん、ローズ委員長ねぇ……。」

 第一鉱山のときも思ったが、ビートのローズの敬愛ぶりは信仰に等しい。彼の経歴はレイナも耳にしているが、薄ら寒いものを感じさせるほどである。

「なんですか、今更貴方までローズ委員長に取り入るつもりですか。」
「はあ!?そんなの無理無理。そもそも私、ローズさんと話す機会すらないし。」
「ふふん、そうでしょうね。貴方は僕と違って、エリート中のエリートというわけでもありませんから。」
「あー、うん。もうそれでいいよ。」

 これ以上反論するのも面倒くさくなり、レイナは適当に相槌をうつ。これはもはや病気の域だ。

「だからあなたの持つ願い星をよこしなさい。僕が代わりに献上しておきますから。」
「それが人にものを頼む態度?嫌に決まってるでしょ。」
「それならバトルで決めましょう。弱いトレーナーに願い星は無用の長物ですから。」

 スーパーボールを構えるビートに対し、レイナも顔を引き締める。さっきまでのんきにはしゃいでいたヌオーとヤバチャも、気持ちを切り替えたようだ。

「念のため言っておきますが、トレーナースクールにいたころの僕と思わないでくださいよ。」
「そっちこそ。」

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