Classical 01

 ガラルのポケモンリーグは他所に比べスポーツとしての意味が強い。迫力あるダイナマックスババトルはスタジアムで行われ、その様子は全国で生中継される。決勝戦となれば観客も含め大熱狂だ。
 ただこのジムチャレンジは誰もが参加できるというわけではなく、リーグ関係者または協賛企業などの推薦が必要だった。その一つにトレーナースクールの推薦枠があり、この物語の主人公レイナもその一人であった。
 エンジンシティのスタジアムには明日の開会式に備え、多くのトレーナーが集まっていた。これから共に競い合い、高め合う仲間達である。そう思えば自然とレイナに高揚感が生まれる。
 ともかく自分も手続きをすまそうと受付に向かおうとしたときだった。

「ヤバチャ?」

 彼女のヤバチャがふわふわと傍を離れたのだ。人が多いここではぐれるわけにはいかないと慌てて追いかける。

「  !」
「お、なんだ?こいつ?」
「誰かのポケモンかな。」

 どうやらヤバチャはレイナとそう年の変わらない二人組の少年に興味を示したらしい。突然見知らぬポケモンに声をかけられた褐色の少年と栗毛の少年は首を傾げている。

「ヤバチャ、一人で行動しないで。二人ともごめんね、うちのこが。」
「  !」

 そんなヤバチャをレイナが捕まえるがヤバチャはちらりと振り返るだけで、再び視線を彼らに戻す。

「もー、そんなにこの人たちが気になるの?」
「  !」

 レイナの問いにヤバチャは頷くように揺れる。どうやら正解らしい。そんなヤバチャに褐色の少年は笑う。

「お、ヤバチャには俺が未来のチャンピオンだってことが分かっているみたいだな。」
「ジムチャレンジする前から凄い自信だね。」
「そりゃチャンピオンの弟だからな。兄貴も超えて史上初の兄弟チャンピオンになる予定だ!」

 そういえばダンテには弟がいるとテレビで聞いたことがあるなとレイナは思い出した。ニカっと笑う少年は確かにガラルチャンピオン・ダンテの面影がある。

「これは強敵の登場だ。そっちの君は?」
「僕はマサル。ホップとはお隣さんなんだ。」
「マサルも強いぞ。なんたって俺のライバルだからな!」

 元気いっぱいのホップに肩を組まれたマサルは苦笑するがまんざらでもなさそうだ。それだけでも2人の仲の良さが伺える。

「じゃあ、そんな2人にリーグカード。私はレイナ、よろしくね。」

 そうレイナが自分のリーグカードを差し出せば、ホップとマサルも自分のを取り出してレイナに手渡した。

「まずはお互いのバッジの完成を頑張ろうね。いこ、ヤバチャ。」

 今度こそ受付に行こうと声をかければ、ヤバチャも満足したらしく頷いた。
 すべては明日から始まる。

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