ひまわり 05
季節によってレイナの花畑は色を変えて染まっていく。向日葵諸島で最も季節の移り変わりを感じる場所だと評判だ。
「レイナはやっぱり花が好きなのかい?」 「うーん、好きといえば好きだけど。」
はっきりとしない返事にマルクは首をかしげる。他人にははっきり言ったことは一度もないが、レイナが花を育てるのは収入のためであり特別花が好きだからというわけではない。
「どちらかというと育てることが好きなんだ。手間暇かけたこがやっと咲いた時が嬉しくて。」 「ああ、それは分かるよ。」 「だよね!マルク君ならそう言ってくれると思った。」
花ではないがマルクも牧場で作物を育てている身であり、収穫時の達成感はよく知っている。それにマルク自身特別好きなもの嫌いなものはないが牧場生活は気に入っている。
「最近はソフィーナちゃんから本を借りながら花言葉の勉強もしているんだ。由来を知ると奥が深いんだなあって思うよ。」
由来はその花の特性だったり神話だったりと様々だ。新しい世界を知ることはそれだけで胸躍るものがある。以前の彼女なら自ら調べるようなことはしなかっただろうが。
「マルク君には向日葵が似合いそうだよね。」 「それ、花言葉じゃなくて色で言ってない?」 「ばれましたか。」
マルクの柔らかな金髪は太陽をかたどったあの彷彿させる。苦笑するマルクに名前は舌をだしておどけてみせる。
「でもマルク君の明るくてまっすぐなところも向日葵みたいだなって思うよ。」
それに向日葵はこの島々の名前だ。ヒマワリ諸島の中心人物ともいえる彼には相応しい花だろう。
「あ、ありがとう。」
それこそレイナのまっすぐな誉め言葉にマルクは照れた様子を見せるのだった。
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