それじゃあ土下座でも 番外編



*こちらは短編小説の「それじゃあ土下座でも」の番外編です。是非本編からどうぞ*



『つかさ、今までとあんま変わんなくね?』

――このデリカシーをどこかに置き忘れたかのような俺の無責任発言が、全ての始まりだったらしい。



それじゃあ土下座でも
         リクエスト番外編



まぁね、たしかにね。いくら何年間も長い長い片思いをしていたとはいえ相手は親友。あいつに関しては酸いも甘いも知ってるわけだ。(まぁそれは向こうも同じだろう)

そんで今までずっと互いに互いへの気持ちを隠して親友をやってきた馬鹿な俺達が今こうして晴れてお付き合いを始めたわけだけど、なんつーかこう…年甲斐もなく恥ずかしい?みたいな気持ちが無きにしもあらずで、いざ恋人になったあいつと何を話せばいいやらサッパリ頭が回らなくなって、つい口から出てしまったあの言葉がどうやらいけなかったらしい。

「ちょ…待てマジ落ち着けっておいお前目ぇ据わってるからマジマジマジで!」

――説明しよう。俺は今ベッドで恋人(オス)に押し倒されています。はい説明おわり。

「落ち着いてるっつの。お前が何か色々と理解してねーみたいだから体に直接教えてやるまでと思っただけだ」
「っおいだからそこを落ち着け…ってなんかそれどこぞのAVの台詞みたいだなははっ」

へらへら笑ってあいつを見上げれば、

「……おい余裕こいてんじゃねーぞまじでお前…」

思っていたより遥かにマジな目つきだった奴はぐぐっと顔を近くに寄せてくる。
そのままキスされんのかと目を閉じてみたら、

「…!!ってーなっ」

まさかの頭突き攻撃とか。

「はっはーんお前が何か調子こいてるから喝を入れてやったんだっつの!思い知ったかこの野郎!」
「知らねーよ馬鹿かお前は」

なんだこいつ小学生か。いやいや俺の記憶が正しければ自分と同い歳のいい大人のはずだおかしいな。

もうさ、この歳になればいくらか恋愛もしてきたし、恋い焦がれる相手が男と分かっている以上男同士のセックスのいろはだの何だのを知らない訳ではないし。

「…なぁ、キスしねぇの?」

率直な意見だった。いやいやだってこんな近くにお前の顔があってさ、まぁ頭突きされるなんて思ってもみなかったけど今でも俺はまだお前におとなしく押し倒されてやってんだぞ空気読め馬鹿って事で。

「なっ…」

俺の情緒の欠けらもないあんな言葉に顔赤くするとかどんだけウブなのこいつ。小学生か。いやいやいやいや……

だから、

「このヘタレ」

ニヤリと口を三日月型に曲げて奴を見上げる。そのまま奴の首根っこをがしりと掴んで、強引にキスをした。

「んむ…っ!ん…っ」
「…っ…ん…」

なかなか開いてくれない歯列を無理矢理に開かせて舌を捩込んだらやっとたどたどしくそれに応じてきて、調子に乗った俺はがむしゃらに口内をまさぐった。

「…んっ…んんっ!」

実はこんな深いキスをこいつとするのは初めてだ。つかキス自体二度目だし。
こいつがこんな甘い声を出すなんてことも初めて知った。くそ、もっとこいつを善がらせてみてぇ。

「…っ…はぁ」
「…な、お前ココ使ったことあんの?」

組み敷かれたままぎゅっと奴の体を引き寄せて、尻をするりと撫でながらそう聞けば「は?」とか返されてしまった。

「な……は?ってどういう…お前まさか何も知らないってわけじゃねーよな?」
「は?さっきからお前が何言ってんのか分かんねぇよ分かるように言え」

うわぁこいつ前知識ゼロだ間違いない。
体を離して素早く奴の下から抜け出し起き上がった俺は、向かい合うように座って奴の肩を両手でガッと掴んだ。

「何すん」
「いいか。無知というのは罪なんだ。だから罪作りなお前には罰が必要だ。よって約束しろ。さっき俺が言ったこと全て分かるようにしとけ!いいな?俺が全部やってやるからよーく覚えとけ!」

頭にクエスチョンマークを付けながらも流される形でほいほい頷くこいつは、本っ当なんにも理解しちゃいないんだろうなぁ。

「つか、何かお前にそうやって指図されんのが納得いか」
「納得いかないとか言える立場じゃないんだっつのお前いっちょ前に人の頭ガチコンやっときながらなんも知らないとかマジふざけんな」

わりと真剣に言ってみたら思いの外俺の気持ちが通じたようで、それっきり悪態をつくこともなくなった。

――とか思ってた浅はかな俺が馬鹿だった。

「なぁ、なんか腑に落ちねぇからとりあえずノーパソ借りんぞサクッと今から調べてやんよ」
「ふざけんなやめろ」
「なんでだよここお前んちなんだからお前のパソ借りるしかねーだろケチケチしないで貸せよ」
「っだー…!っも本当空気読めよここで調べるくれーなら俺が直接お前の体に教えてやんよさっきお前が馬鹿面下げながら俺にぶっこいてた台詞だけどなあ?どーする?あん?」
「ぐっ……」


――まぁ、こんなやり取りも俺達らしい、か。



「ぶぁーか。この土下座野郎。お前は俺の言うこと聞いときゃいいんだよ」
「なっ…!お前いつまでそれ引っ張る気だ…!」



---fin---




この二人はあぁやっていつまでも言い合いながら仲良くやっていくんだろうなぁと思います。「それじゃあ土下座でも」は本編、番外編、質問企画と、また今回も番外編が書けてとっても楽しかったです(´∀`*)
匿名様、リクエストありがとうございました!



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