それじゃあ土下座でも 01.




「何お前、また彼女と別れた訳?ほんっとお前続かねーのな、またどうせフラれたんだろ」

「はっ、うっせーよそんなん俺の勝手だろ?っつかお前こそそういえば彼女の「か」の字も聞かないよな?どしたよ?モテない訳でもないだろーに」


五月蝿(うるさ)いな…。俺が彼女作らない…いや作れない理由は、残念ながら今俺の目の前でベラベラベラベラ俺の気持ちも知らないで脳天気に喋ってるお前にあるんだよ、馬鹿。



それじゃあ土下座でも



それよりも、お前だって毎度毎度彼女作る度に二、三ヶ月で見事に振られやがって、全く女を見る目が無いっつーか…いやいや、女の方が見る目が無いんだよマジで。
もし俺が女なら絶対お前を幸せにしてやれるのに…。って逆か。お前が女なら絶対幸せに…まあどっちでも良いけど。


どうせ何を望んで夢見たところでそれは夢でしかないんだから。俺の気持ちがお前に伝わる事なんて絶対有り得ない。


「なあマジ何で彼女作んねーの?俺の友達でお前に告って振られた奴何人もいるんですけど?」


お前の事が好きだからだっつーの。気付けよ馬鹿。


「いや、俺の事はどうでも良いだろ。お前こそ何でそんな振られまくってんの?何、お前実は女の前じゃ亭主関白とか?我儘ぶっこいてんじゃねーだろーな」

「…っ…だよ」

「…あ?」

「…好…きな奴がいんだよ」

「っは?」


好きな奴?おいおい意味分かんねーよ。つか聞いてねぇ。
好きな人が居るのに適当に言い寄られた女全部を相手して付き合ってたって事か?意味分かんね。
そんな意味無い事する前にその好きな人に告白でもなんでもしろっつー話な訳で。


「でも、絶対振られんの分かってっからなー。仕方ねんだよ。で、歴代彼女全員「あんた私の事なんか好きじゃないんでしょー!」ってバチンってビンタされて終わり。可哀相でしょ?俺」

「自業自得。つか好きな奴なんか居たのかよお前俺聞いてねぇぞ?絶対振られるとか言う前にとりあえず告白するべきなんじゃねーの?土下座でもしたら付き合ってくれっかもよ、お前顔だけは良いからな」


うん、本当にお前は顔だけは良いよな。残念ながら俺はお前の顔以外の良いところもいっぱい知ってるけど。

もしこんな俺の助言でお前がその好きな人とやらに告白して、もし付き合ったりしたら、いつもみたいにすぐ振られることもなくなるんだろうか。

あー…やべ、ちょっと泣きそう。



そう思ってたのに、あいつから出た言葉はとんでもないもので。






「そ?……じゃ、ちょっと土下座してい?」




「………は?」




俺の長年の片想いが、終わった瞬間。





---fin---




長年友達でありながら、互いに想い合っていながら、同性同士であるが故に気持ちを伝えられなかった二人のお話。こうしてひょんなことから愛が生まれていくんですね。


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→次ページからは30万hit御礼で書かせていただいた番外編になります

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