勘違いから始まる恋 番外編



*こちらは短編小説の「勘違いから始まる恋」の番外編です。是非本編からどうぞ*



あれから一週間。
ひょんなきっかけで俺はあいつと正式にお付き合いすることになったわけだけど、何故だか最近あいつに避けられているような気がする。というかなーんかよそよそしいんだよな。



勘違いから始まる恋
        リクエスト番外編



いつものように一緒に帰ってたある日のこと。
丁度人気のない道に差し掛かったもんだから、そっとあいつの手を握ってみたんだ。
奴のことだからそんな事したら照れんだろーなーとか思って内心ニヤニヤしていたら、「誰かに見られるかも」とか云々言ってさっと手を振りほどかれた。え、何その反応。

「……っはあ?」

思わずそう口にした。
そしたら「ごめん」と、奴は俯く。
マジ意味分かんねえ。何だよ。お前俺のこと好きなんじゃねーの?一週間前のあの日はお前から手繋ごうとしたじゃんか。じゃあ何で今俺の手を拒むんだよ。

ザッとわざと音を立てながら穿き潰したローファーで地面を蹴って、その場に立ち止まった。
一歩分先に居るあいつもゆっくり動きを止めて、こちらを振り向く。

視線が絡まった瞬間、ゆらゆらとあいつの瞳が左右に揺れだした。

「なに、手繋ぎたくねーの?」

おずおずと頭が縦に動く。

「…俺のこと好きとか言ってたの嘘だった?」
「ち、ちが……っ」

慌てたように切なげな目がこちらを捉えて、でもはっきりしない奴の態度に無性に苛ついた。

「じゃあなに、俺のこと嫌いになったわけ」

その問いにはふるふると全力で否定された。
俺のこと嫌いじゃないけど手は繋ぎたくないとかもう本当意味分かんねぇ。

「言いたいことあんならちゃんと言って」

少しだけ声を張り上げてそう言えば、奴は恥ずかしそうに頭を掻きながらやっとぼそぼそと言葉を紡ぎだす。

「俺…お前と付き合えて今幸せ絶頂期でさ…、」

うんうんと相槌を打ちながら聞いてやる。

「俺、もうお前のこと下心なしじゃ見られなくなって…!だから手なんか繋いだら…!ってき、気持ち悪いよな?!ごめ…っこんなこと言ったら絶対嫌われると思っ……ごめ…っ」

泣きそうになりながら片手で顔を隠そうとするあいつの腕をがしりと掴んで、むりくりに引き寄せて抱きしめた。

「えっ…ちょ…!」

こいつ、馬鹿だろ。
どんだけ勘違いすればすむんだよ。どんだけネガティブなんだよ。

「ばーか。そんなん言われて嫌いになるわけないじゃん」

ゆっくり体を離して、案の定涙でいっぱいになってる奴の目元をそっと拭う。

「……俺も同じだっつの」

そう言って、今度はしっかりと互いの手を重ね合わせる。
ぎゅっと握れば、おずおずとそれに応えるように握り返されて。
なんかもう堪らなくなったから、指を絡めて恋人繋ぎにしてやった。

「誰かに見ら」
「見られてもいーじゃん?」

にかっと笑えば、奴はうぅ〜と涙をぽろぽろ零した。



---fin---




いやぁ泣き虫勘違い君可愛い奴です…!これからもこういう些細な勘違いを繰り返しながら愛を育んでいけばいいと思います(^q^)
ゆま様、リクエストありがとうございました!



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