追い掛けた約束(0/6)



水色のスモックを着ていた頃の私はいつもお兄ちゃんの背中を追い掛けていた。

お兄ちゃんは私がどんなに派手にこけようとも決して心配するような言葉を与えてくれなかった。むしろ言葉さえかけてくれなかったような気がする。お兄ちゃんはただ、こけた私にずんずんと進んでいた足を止め、膝を擦りむき泣き出す私をじっと見下していた。決して大丈夫かと抱きかかえてあやしてはくれなかったけど、そこから私を置いて行くような事はしなかった。声を張り上げぎゃあぎゃあ泣く私は次第にお兄ちゃんは私を慰めることはしないと理解して、涙と鼻水で顔をぐしゃぐしゃにしつつも一人で立ち上がるようになった。そしてまた、お兄ちゃんを追い掛ける。お兄ちゃんは私が立ち上がって再び着いてくるのを確認するとまたずんずんと歩き始める。私はそんなお兄ちゃんの背中を、ずっとずっと追い掛けていた。

何かを求めるように。


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