04



私に買ってくれた、という服の入った紙袋を私は全力で首を振った。(ぢりんぢりんっ)えっ、そんなっ、わた、わたしに!?服…!?ほ、本当だったのですかっ!


「ナマエ?どうしました?」

「何かすっごい首振ってるさ。」

「…遠慮してんだよ。」


コイツは。と鼻をご主人様にきゅっと摘まれた(ぴっ)。そして紙袋を私に押し付けて「持て」と言われて私は慌てて持った。あのっ、でも、私、も、もらえませんっ。獣人なんて人間のお下がりを頂けるだけで本当に十分で、今私が着ているリナリーさんのお下がりだけでもとてもありがたいのです。だから、わたし、


「お待たせー。あれ?どうしたの?」


持て、と言われた紙袋を、どうしよう貰えません…と尻尾を下げたところにリナリーさんが新たな紙袋を持ってお店から出てきた。リナリーさん、スタイルがいいので何でも似合って、よく買われます。綺麗で、スタイルよくて、優しくて、人間で、ご主人様の恋人で、羨ましい、なぁ。


「ナマエがせっかく買ったのを受け取ってくれないんです。」

「あぁ…。そう、よね。だってナマエ私の服をあげる時だってなかなか受け取ってもらえなかったもん。」


本当は、今もリナリーさんから頂く服に腕を通すの、ためらいます。だって、わたし、


「ナマエ。」


く、と顎が持ち上げられた。持ち上げられたと同時に目いっぱいに映ったのはご主人様で。ご主人様、あの、なにを。

唇を親指でなぞられた。やっ、あの、ご主人様、あのっ。


「簀巻きとハム、帰ったらするぞ。」



ぴっ…!!





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