匂い


今日はとても暖かかったから、お洗濯物がとても乾いた。取り込んだ洗濯物を一つ一つ丁寧に畳んで、ワイシャツは後でアイロンして、タオルはこっちで、こっちのタオルはあっち、あっちのタオルはこっち、ご主人様のパンツは、ここ。
あ、あと、今日は本当にお天気良かったからご主人様のお布団と一緒にご主人様からもらった毛布も干した。そしたら、ご主人様のお布団はもちろん、ご主人様からもらった毛布がとてもふわふわしてて、お日様の匂いいっぱい。ご主人様の匂いもして、とても幸せ。幸せの香り。思わず洗濯物を畳む手を止めて毛布にぎゅむっと顔を埋めた。ふわぁ、いい匂い。ご主人様の匂いとお日様の匂い。このまま、寝たい…。ご主人様のお布団は綺麗にメイキングしたし、後は少し畳むだけだし、いいかな。お昼寝してもいいかな。ちょっとだけ、ちょっとだけ、いいかな。だって毛布ふわふわで、お日様の匂いも、ご主人様の匂いもたくさん……、たく、さん…。たくさん?と思ってちょっと眠くなってた目を開けたら、私は後ろからぎゅうされてた。(はう、)私をぎゅうしてたのは、あの、ごしゅ、ご主人様だった。


「…お前な。」


ご主人様、お放しください。あの、獣人の匂い、付いちゃいます。ケモノの匂い。そう、ごそごそ身を捩って鈴を鳴らしても、ご主人様の大きな腕は私をがっしり掴んでて、逃がしてくれない。お、怒ってるのかな、お洗濯物畳まないでお昼寝しようとしたの、怒られる?でも謝りたくても、もっとぎゅってされて、はう、ご主人様の匂いでいっぱいだ。


「干した毛布、気持ちいいか?」


そう耳元で囁かれて私の耳はぴくぴく震えた。ご主人様のお声は、低くて鼓膜が震える。ご主人様の言葉に、ちりんと鈴を鳴らした。するとご主人様は私の体を引き寄せて、後ろから、あの行為をしてくる。ご主人様の唇が頬に落ちた。耳が、尻尾が細かく震えちゃう。だけどご主人様は頬にちゅっとしただけで、私が抱えてた毛布を広げて、私にかけた。あ、あれ。あの、行為、するのかと、思ったのに。そう見上げたら、ご主人様の唇が額に。


「昼寝、するんだろ。」


後ろから抱き締められたまま言われて、「ほら寝ていいぞ」と頭を撫でられた。温かい毛布に、お日様の匂い。そしてご主人様のいい匂いがたくさん。けど、抱き締められたまま、寝れません、ご主人様。




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