雨の日
 
「あー…急に雨降ってきたね…」
『どうしよう』
「しょーがないな…スカイファイナンスまで走るよ!」
『あ、はい!』

梅雨でもないのに突然降り出す雨
スカイファイナンスに戻っても寒かったらやだな
そんな心情を読んだかのようにスカイファイナンスは暖かかった
花ちゃんが暖房つけっぱなしで帰ったのかな
早めに帰ってきたから幸運なことにあまり濡れていない

「ちょっとまっててね。タオルもってくるから。」
『はい』

とは言ったものの、タオルなんてすぐ見つかるかな
引き出しを押したり引いたり
タオルを見つけたけどまたそこらへんばらばらと物が散らかってしまった

「なまえちゃん、タオル」
『ありがとうございます』

彼女は自分の頭をぐしゃぐしゃと拭いた
変な沈黙が流れる
ここで二人きりなんて、初めてじゃないのに

「…あ、ごめん。なんか飲み物出すよ!あったかいのがいいよね?待ってて」
『あ、はい…』

柄にも無くガンガンとマシンガンのように喋ってしまった
呆れながらコーンポタージュを温める
なぜ冷蔵庫にコーンポタージュ(缶)があるのかは、まあ、きっと花ちゃんだろう

チン、と音がして、そのままなまえちゃんの所まで運ぶ

「缶でごめんね、これしかなくて……なまえちゃん?」

返答がないので彼女が座っているだろう場所を見る
彼女はソファーに寝転がってそのまま寝てしまっていた

「ええ、マジですか…」

参ったな。コーンポタージュが覚めてしまうし、ここで寝られて翌朝花ちゃんに見つかってもやばいし、どうしよう。
彼女の幸せそうな寝顔を見て、そんな悩みは吹き飛んだ

「可愛いな。」

なにも喉につっかえる事無く驚くほどすっきり出てきた言葉は俺を動かしてしまう
その可愛い頬に、流れるようにキスをした

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