にねんかん | ナノ


▼ さすがは王下七武海

「オイ!!酒がねェ!!買ってこい!!」




そういって、空になった酒瓶を、痩せ細った身体にボロ布を纏う女に投げつけた。

瓶は女の身体に当たったが、瓶よりも弱いその女の身体は瓶を割ることなく倒れていった。

か細い脚で立ち上がり、家から出た女は、酒を買いに酒屋へ行く。


街の人は同情のような目を向けてくるが、手を差しのべる人間は一人もいなかった。





女の前に、一人の青年が倒れていた。

狭い道に横だおれで、邪魔だったので声をかけた。

青年は急に起き上がり"悪ィな!寝てた"と笑った。


自分に向けてそんな顔を向けてきた人間は初めてだった。





何の縁か、次の日も青年は倒れていた。

また声をかけた。


今度は青年も女を覚えていて、"また会ったな"と嬉しそうに笑った。




それから一週間で、2人は雑談をするほどに仲良くなった。

単に、青年のコミュニケーション能力の高さ故だろう。



青年は、海賊だった。

今は停泊していただけで、明日にはまた島を出るそうだ。



青年は、女に船に来ないか誘ってきた。

自分には父親がいるからと、女は誘いを断った。



しかし、青年はなかなかしつこく、一度でいいから"親父"に会って欲しいとせがんできた。



それでこの青年が引き下がるのなら、そう思って"親父"さんに会いに行った。









自分の人生を、否定されたような気持ちになった。


























「…………………………また、この夢か…」



エースとであった頃の夢。

親父さんに初めて会ったときの夢。



ここ最近、ルフィ君との手合わせの日から、ずっと同じ夢を見ていた。




そして、またルフィ君に会うのかと考えてしまい、ベッドから下りようとする足が止まる。


小刻みに震えて、それ以上進もうとしない。


戻そうとすると、足は動いた。


だけど、ベッドから下りることはできなかった。






そんな状態が、たぶん、1ヶ月ほど続いている。


ベッドから立ち上がれず、カーテンすらも開けていないため、日付の感覚がない。




そんなに、修行をしていないのか。


前を向かなくちゃ行けないのに。



どうしてこの足は動いてくれないの。












「ルカーーーーーーーっ!!!!!!」


「!?」






ドカァァァァァァアアアン!!!





大きな音を立ててドアを蹴破った美女はどこの美女かと思ったら、しばらく会っていなかった友人ハンコックだった。

彼女にまで心配をかけていたのか………

ハンコックは私の姿を見ると抱き締めてきた。






「………はん、こっく」

「あまり心配をかけるな………」






抱き締められて近いから、彼女らしくない弱々しい声がよく耳に届く。


ごめん。



そういおうと思ったら、ハンコックは私を抱き締める力を強め、そのまま立ち上がった。




え、え、


なにこれ、






もちあげられてる???








「えっ、ん?、は、ハンコック?」


「ルスカイナ島へ行くぞ」


「……………………え!?」








さすがは王下七武海………抵抗ができない…!

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