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カルマ君は浮気性?



リクエスト: カルマ君は浮気性の続き

彼女の首を絞める。緩やかに息絶えていく。それはもちろん現実の話ではなく、喩え話。
傷つけて追い詰めて、それでも離れない彼女の愛を確かめ安堵していたら、ある日突然、首にかけていた手を振り払われた。呆然としていると、歪んだ表情を涙が伝った。彼女が泣くのを見るのは、いつぶりだろうかと考えて、ずいぶん昔、一緒に映画を見たとき以来だと気づく。彼女のうつろな瞳を見た瞬間、二人で映画の感想を言い合ったあの日は、もう戻ってこないのだと直感した。
「もう無理。ごめん。カルマ、ごめん」
俺の伸ばした手をすり抜けて、彼女は去ってしまった。どうして彼女が謝罪したのかは、どれだけ考えても分からないままだった。
引き止め損ねた手のひらを見下ろし、五本の指を折り曲げる。伸びきった爪を見て、いつからこんな手で彼女を抱いていたのかと驚く。痛かっただろう。傷つけただろう。それでも何も言わずに赦してくれていた彼女を、今度は俺が受け入れ、逃がしてやるべきなのだろう。

160724