匪口とバレンタイン
リクエスト：バレンタインの匪口さん
「匪口さん、今日バレンタインなんだけど……」
「あー、そう言えばくれるって言ってたっけ？」
「えっと、でも……毎年婦警さんからたくさんチョコもらうから、あんまりいらないって言ってたよね？」
「まー、さすがにチョコばっかりは飽きるよね」
「あの、謝りたいことがあるんだけど……」
「何？結局チョコにしたとか？いいよ、なまえが不器用なのは知ってるし、そりゃクッキーとかのが嬉しいけど、チョコ湯煎する方が楽だもんね？」
「えっ、いや、そーじゃなくて」
「違うの？じゃあ何？」
「……」
「もしかして失敗したとか？見た目悪くたって、胃に入れば同じだからそんな気にしないよ」
「ち、違う……。実はチョコ、なくて……」
「え！？なんで！！」
「昨日、弥子ちゃんと一緒に作ろうってなったんだけど」
「あぁ……（全てを察した顔）」
「ちょっと目を離した隙に、弥子ちゃんが全部食べちゃったんだよね……」
「なんであいつ頼ったんだよ。完全に人選ミスじゃね？」
「弥子ちゃんグルメだから作る方も上手なんだよ。アドバイス欲しかったんだもん……」
「え、じゃあ……何もないの？」
「ご、ごめんね。頑張って作るよって宣言したのに……材料も全部なくなっちゃって……」
「まじかよー……」
「で、でも匪口さん、他の人からもらったチョコがあるよね……？」
「……今年はもらってないよ」
「えっ、一個も？」
「一個も！！」
「ど、どーして……？」
「彼女にもらうからいらないって断った」
「な、なんでっ！？匪口さんそういうタイプじゃないじゃん……！」
「お前がウジウジ気にすんのが目に見えてたからだよ」
「そ、そんな……」
「そもそも義理チョコたくさんもらっても、お前のチョコがなくていい理由にはならないし」
「ご、ごめん……」
「謝んなくていいから、俺の言うこと聞いて」
「えっ」
「…………なまえのチョコ食えなくてムカつく」
「えっ」
「なまえにじゃなくて、俺自身に、だよ。スカして、他の奴にもらえるからとか言って……。なまえからのチョコが欲しいって、きちんとお願いするべきだったのに」
「……ひ、匪口さん」
「だからごめん、なまえ……今からでも作って！なんなら材料買ってくるから」
「えっ……！？い、今から？」
「うん。彼女にもらったチョコ、ツイッターあげるって友達に自慢しちゃった……」
「あー……。うん。分かった、がんばる」
「……呆れた？」
「う、ううん。自慢しててくれたのが、嬉しくて、こんなことなら、一回ダメになったからって諦めなきゃよかったって後悔した」
「なまえ……」
「材料、一緒に買いに行こ？」
「……うん。サンキュー」
160214
バレンタインが近いので準備するヒロインと匪口さん……とのことでしたが間に合わず当日になってしまったのでこういう話になってしまいました。すみません！
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