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140字まとめ7



ツイッターでやった診断。キャラ名を入れるとお題が与えられるので、140字のSSを書くというもの。



 匪口結也『言うと思った』

「また野菜残してる」
背後から覗き込もうとしたら、彼が振り返り、近いと思った時には、唇が触れていた。脈絡のない行動に動揺する。
「や、野菜も食べなよ」
苦し紛れの一言に、匪口の言葉が一字一句、重なる。彼はフォークで野菜を刺しながら、口元だけをほころばせ、笑った。
「言うと思った」



 匪口結也『今日も星空は見えないみたいだ』

猫が飼いたいといったら、放任主義の結也が珍しく難色を示した。
「毛がつくじゃん」
「掃除がんばるよ」
「壊されたら困るものがたくさんある」
「しつけするし、片付けに気をつけるから」
「……先に死ぬよ」
パソコンを見つめる彼は、表情を隠す。たまに晒される傷を癒す術が分からず、背中に抱きついた。



 赤羽業『私の為だけに生きて』

才能にあふれる人を好きになるのは、寂しいことだ。人は秀でる程、世間に求められるから。
「何の心配してるの。俺がそんな人気者に見える?」
冗談まじりに笑うカルマに、抱きしめられながら思う。本当は、意のままに関係を築くことだって容易い彼は、私の不安や予感を拭うため、孤独を選んだ優しい人。



 赤羽業『拗ねてる君も可愛いよ』

暗殺の訓練に勤しんでいたら、日が暮れた。茅野さんは潮田君が送ることになり、赤羽君を横目に見た。
「もちろん送るよ。危ないからね」
「ありがと!」
「周りの人が」
笑いながら付け足す。訓練でたくましくなった自分を否定できずに唇を尖らせると、彼が瞬いた。
「やっぱ危ないかも。今の女子っぽかった」



 空閑遊真『本当の貴方が見えないの』

私の嘘と遊真の嘘は違う。
「レプリカが教えてくれたよ」
彼の目が赤く染まる。
「日本に来たのはお父さんを救うためだったんだね?」
彼は途端に表情を崩して笑う。
「教えてもらったんじゃなくて、盗み聞きだろ?」
あなたを抱きしめていいか、聞いてみたい。でもその答えが本物か、私にはわからない。



 空閑遊真『物語をもう一度』

やることがなくなったと遊真が言う。父親を取り戻せないと知った横顔に、「やることないなら、私が作ってあげる」と呟いた。
「例えば?」
「月一で遊びに連れてく。遊園地とか、気にいるはず」
「ほう」
「面白い週刊誌も読ませてあげる」
「うん」
「毎日、私を大切にしていいよ。私も、遊真に愛をあげる」



 空閑遊真『近すぎると怖い、離れても嫌』

 自分が嘘つきだと知ったのは、遊真に出会ってからだ。赤い瞳と一瞬の間が、私に気づかせる。流されてきた己を恥じて距離を置いた。
「俺が嫌いになったのか?」
「違うよ」
安堵の表情に、不安にさせたことを知る。
「嘘を知られるのが怖くて」
遊真は首を横に振る。
「お前の嘘は優しいから、聞いていたい」



 三輪秀次『泣くくらいだったら、笑ってやる』

「秀次って真面目」
「うるさい」
「お姉さんの仇については、この際なんも言わないけどさ」
「ついてくるな」
「私と別れる理由にはならなくない?」
「……」
「ケジメつけよーとか考えてるんでしょ」
「……」
「巻き込みたくないとか」
「……黙れ」
「真面目だよね。笑っちゃうくらい」



 三輪秀次『君限定の魔法の言葉』

近づきたいのに隙がない。三輪との会話は復讐や近界民などの物騒な言葉ばかり並ぶ。しまいには成長がないと叱られた。
「私も兄を殺されたの」
口をついた出まかせに、鋭い瞳が見開かれた。引き返せない場所へ踏み入れた予感に背が冷える。同時に生まれた共通意識に、戻れなくてもいいや、と思った。

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